これで完璧!ChatGPTのプロンプト作成8個のルール

ChatGPTに対する指示文のことを「プロンプト」と言います。ChatGPTを使いこなして業務効率化などの仕事につなげるためにはこの「プロンプト」を書くためのルールと基本的なコツをしっかりと掴む必要があります。本記事では、ChatGPTのプロンプトを作成する際に抑えておくべき基本的なルールを紹介します。

ChatGPTのプロンプトとは

ChatGPTはOpenAI社が提供するチャット型のジェネレーティブAIであり、現在大変注目が集まっています。利用者はAIと文字通り「チャット形式」で会話を行うわけですが、利用者がチャット形式で入力する文章のことを「プロンプト」と呼びます。

ChatGPTにおいてプロンプトはなぜ大切なのか。プロンプトエンジニアリングの必要性について

ChatGPTは「利用者のテキスト入力」によって「AIからのテキスト出力」を引き出すシステムであるため、「利用者のテキスト入力=プロンプト」が全てといっても過言ではありません。ChatGPTはまるで人間と会話をしていると錯覚する精度ですので、ついメールやLINEで人間と会話するようにプロンプトを作成してしまいがちですが、それはプロンプトを作成しているとはとても言えませんし、それでは効果的にChatGPTを利用することはできません。

ChatGPTのプロンプトは人間とのチャット文章とは明確に異なるという認識を一番最初に保つ必要があります。もちろん、人間との会話のようにプロンプトを作成しても「それっぽい文章」が返ってくるわけですが、それではChatGPTのチカラを十分に引き出しているとはとても言えないですし、仕事で使うレベルには到底達しないということを強く認識することがスタートです。

より適切なプロンプトを作成する過程のkとおを「プロンプトエンジニアリング」と呼びます。「エンジニアリング」と聞くとプログラムを開発するようなイメージを持ちますが、「日本語のChatGPTの入力文を最適化する」ということであり、ChatGPTを利用する全てのビジネスマンが意識するべきことです。本記事では、誰もが「プロンプトエンジニアリング」を自分でできるようになるためのコツを解説しています。

ChatGPTのプロンプトの作成のコツ8個のルール

ChatGPTのプロンプト作成の際に気をつけるべきルールを解説していきます。今回は中途採用担当者をテーマに各ルールについて良い例と悪い例をあげながら解説していきます。

ルール①指示と文脈を明確に分けて記述する

中途採用部署に新たに来た新人に営業の中途採用の業務フローを説明するための文章を作ってください。
中途採用業務の一連のフローの説明文を作成してください。
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##説明文を読む人
人事部の中途採用部署に新たに配属された新人

##中途採用したい人材
競合他社の営業マン

ダラダラとした長文の指示文は人間であっても非常に理解しがたいですが、ChatGPT相手であればより一層控えたほうがよいです。

また、記号を使って指示をより明確化することもオススメです。記号は世界的な標準である「マークダウン」という記号の使い方が最も適切です。代表的なものは次のとおりです。

  • 大項目を「##」とシャープ2個で表す方法です。中項目であれば「###」小項目であれば「####」とシャープの数を増やしていきます。
  • 区切り文は「—-」とハイフン4個で表現することを奨励しています。これにはChatGPTのトークン最小単位が影響していますが詳細は割愛します。

ルール②あいまいな表現をなくす

採用候補者に対する簡潔だけれども丁寧で誠意の伝わる面接の案内メールの具体例を作成してください。
採用候補者に対するメール文面の作成をしてください。
文面は10行以内、読了まで3分以内とします。
また、業務的な文章になりすぎないように次のような内容を必ず含めてください。

1.採用候補者の人柄に対して非常に好感を持っていること
2.選考を受けてくれたことに対する感謝

できるだけ定量的・具体的な指示を心がける必要性があります。特にChatGPTの回答は長文になりがちのため「短く」という指示を多く見かけますので注意が必要です。

ルール③定性的な基準についても、評価軸を明確化したり可能な限り定量化する

新卒採用向けの心に残る良いキャッチコピーを作成してください。
新卒採用のキャッチコピーを100個作成してください。
それらを次の評価軸でそれぞれスコアリングした上で、総合点の高いものを10個出力してください。

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##評価軸
・文章が簡潔であるか
・意外性のある言葉が含まれているかどうか
・コピーを読んだ人の採用への応募意欲が増すかどうか
・弊社の企業文化である「情熱」を連想するかどうか

文章作成タスクにおける「良い」「心に残る」「魅力的」などの概念をChatGPTが正確に理解することは不可能です。評価軸を明確に提示した上でChatGPTに数値化(スコアリング)した上で数値の大きいものを出力するような指示などが汎用的に使えるテクニックです。

ルール④禁止事項を記述する

採用候補者との面接の一番最初の質問として、パーソナリティを理解するための質問文を10個考えてください。
採用候補者との面接の一番最初の質問として、パーソナリティを理解するための質問文を10個考えてください。
ただし、その人の性別や外見、居住地、その他センシティブなパーソナリティに関わる質問は禁止です。

出力テキストに対して明確に禁止したい内容がある場合はそれらをしっかりとプロンプトに含めることが大切です。ChatGPTの回答が日本社会の暗黙的なルールや倫理観を完全に踏まえることは不可能ですので具体的な指示が必要です。また、それ以外にも「答えだけを出力してください」「答えだけでなくその検討の過程についても説明を出力してください」など出力形式に対するルールを明確に指定することもよく使われます。

ルール⑤回答者の立場を指定する

フリーランスでなく正社員として入社するメリットをあげてください
あなたはフリーランスとして活躍するスキルを十分備えているにも関わらず、あえて企業に正社員として働いている立場です。
自分と同じように、フリーランスとして独立するか企業に正社員として属して働くかを迷っている人に対して、
企業に正社員として属して働くことのメリットを説明してください。

全く同じ質問でも回答者の立場によってその回答は大きく異なります。例の場合、「そもそも誰に対するメリットを出力すればよいのか」が不明瞭ですので、しっかりと指定することでより意図に沿った回答を引き出すことが可能となります。

ルール⑥出力文の条件を詳細に記述する

日本の有名企業の本社の住所を教えてください。
日本の有名企業の本社の住所を教えてください。

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有名企業とは東証一部に上場している日本企業のうち時価総額上位10社のことを指します。
出力は表形式で出力してください。
表には「会社名」「住所」「最寄り駅」を記載してください。
会社名は省略せずに正式名称を全て記載してください。

出力文の定義には「表形式」「箇条書き」などの形式もありますし、「100文字以内」「答えだけを端的に」などの文字数に関する指定もあります。また「正式名称で」などといった表現もよく使われます。

ルール⑦出力文の模範例を明示する

中途採用活動の際に気をつけなければならない点についてまとめてください。
中途採用活動の際に気をつけなければならない点についてまとめてください。
出力はすべて「禁止アクション」について記載してください。

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##出力文の例
候補者の現職の勤務時間中に電話連絡をしてはならない。

出力文に対する指示として「具体的な例」を記載することは非常に強力な手段です。

ルール⑧一往復のやり取りで完璧な出力を期待しない。追加質問を使いこなす

ChatGPTを使いこなす上で最も大切なことは、「入力1回、出力1回で完璧な回答を引き出すことを求めない」ということです。これは2つのアクションの必要性を示しています。

1つ目は「プロンプト改善の必要性」です。ChatGPTからの出力が意図した内容と大幅に乖離していた場合は、プロンプト自体を修正する必要があります。再度プロンプトを作成し直し入力することが大切です。

2つ目は「追加対話の必要性」です。ChatGPTは文字通り「チャット」をベースとしたAIツールであるのがSiriやアレクサとの大きな違いです。また、ChatGPTは同じチャット上においては過去のやり取りの文脈を踏まえた回答が可能ですので「もっとこのようにしてほしい」といった出力に対するリクエストを追加で行うことも大切です。