自然で非常に高い翻訳性能を誇るAI翻訳サービス「DeepL」を使っている人は有料版の「DeepL Pro」が気になっている人も多いと思います。本記事では、DeepL課金版である「DeepL Pro」の料金や使える機能について解説するとともに、実際に筆者が有料版を利用してみて感じたメリット・デメリットについても解説していきます。
DeepL Pro(有料版)と無料版の機能比較5つのポイント
DeepL無料版と比較した際にDeepL Pro(課金版)の主な違いを5つのポイントで解説します。
長文翻訳:翻訳できる文字数が5000文字→無制限に
最もわかりやすい違いが、翻訳可能な文字数の制限が無くなることです。無料版では1回の翻訳が可能な文字数は5000文字となっていました。ちょっとした文章の翻訳であればこれで十分ですが、Webページや論文などを翻訳するにはこの制限を煩わしく思う人も多いのではないでしょうか。DeepL Proであればどのプランでも無制限となっています。
セキュリティ:翻訳前の入力文、翻訳後の出力文が共に保存されない
業務上AIツールを利用する上で気になるのがやはりセキュリティです。DeepL無料版では送信されたデータはDeepL社のサーバーに保存され、アルゴリズム改善のために使用される可能性があります。そうなると機密情報の翻訳はし辛いという欠点がありました。
しかし、DeepL Proではデータは全て暗号化され、利用者が入力したテキストデータ、そしてそれをDeepLが翻訳して出力した文章を含めてサーバーに保存されることはないので業務に安心して利用することが出来ます。
ファイル翻訳:翻訳可能数の増加だけでなく、翻訳後ファイルの編集も可能に
DeepLの利便性の高い機能の一つに「ファイル翻訳」があります。Word(.docx) やPowerPoint(.pptx)のファイルをアップロードすることで、これらを読み取って中身を翻訳して出力してくれる機能です。
無料版の場合、翻訳できるのは1ファイルあたり5MBまで、1ヶ月あたり3ファイルまでですが、有料版は料金プランごとに次のようになっています。
料金(月払) | 翻訳可能ファイル数 | |
Free | 無料 | 3ファイル/月 |
Starter | 1,200円 | 5ファイル/月 |
Advanced | 3,800円 | 20ファイル/月 |
Ultimate | 7,500円 | 100ファイル/月 |
また、無料版では翻訳されたファイルを編集することができませんが、有料版では編集をすることが可能です。中身の意味をざっくりと確認したい程度の場合は問題ありませんが、特にPowerPointを翻訳する場合は文字数の差により発生するデザイン崩れを直すなど、翻訳後ファイルの再編集の必要性がある場合も多く、その場合にはDeepL Proの価値がでてきます。
※DeepL無料版でも有料版でも、翻訳できるファイルの種類は変わりありません。PDFやエクセルファイルの翻訳機能は提供されていません。
ページ翻訳:Chrome拡張機能で英語ページの丸ごと自動翻訳が可能
DeepLのChrome拡張機能には次の3つの機能があります。
- 書きながら翻訳(ブラウザ内のテキストボックスやブログ執筆画面などで入力した文章をそのまま翻訳)
- 選択したテキストを翻訳(Webページの翻訳したい箇所を選択して翻訳)
- ページ全体を翻訳(Webページ全体を翻訳)
このうち、3つ目の「Webページ全体を翻訳」機能はDeepL Proでのみ利用することが出来る機能です。また設定をすることで、指定した言語(例えば英語)のページにアクセスした際に自動でページ内容を翻訳して出力してくれる機能もあり、世界中のすべてのWebページが日本語になったような体験をすることができます。
語調切り替え:「です・ます調」「だ・である調」切り替えが可能
外国語を日本語に翻訳する時にどうしても「翻訳感」が出てしまう理由の一つが語尾の使い方です。例えばメール文章の翻訳が「だ・である調」だと違和感がありますし、論文が「です・ます調」でも違和感があります。
DeepLはドイツで開発されているサービスですが、語調という日本独自の細かい機能に対応しています。
その他の有料版だけの機能
それ以外には次のような機能が有料版になると開放されますが、必要とする人は少ないかもしれません。
- 登録できる用語集の数が増える(用語集登録は日本語ではそもそもできません)
- CATツールと呼ばれる他の専門的な翻訳サービスとの組み込み利用が可能
DeepL Pro(有料版)の価格(個人またはチーム向け)
DeepL Proは月額制のサービスとなっており、3パターンの料金プランがあります。また支払い方法は月払いと年払いがあり年払いの場合は約16%割引があります。
月払 | 年払(月額換算) | |
Starter | 1,200円 | 1,000円 |
Advanced | 3,800円 | 3,167円 |
Ultimate | 7,500円 | 6,250円 |
30日間の無料体験も可能
DeepL Proは最大30日間の無料体験を用意しています。有料版に魅力を感じている方はまずは無料体験をオススメします。
DeepL Proを実際に利用して感じたメリット・デメリット
結論から申し上げると、筆者はDeepL Proを無料体験した満足度が高く、現在もスタータープランに継続加入しています。大前提としてGoogle翻訳に代表されるような他の翻訳サービスと比較してDeepLの翻訳の精度やスピードに対して価値を感じているという前提ではありますが、特にGoogle Chrome拡張機能を使って利用することが出来る、ページ全体の自動翻訳機能が役立っています。
海外のニュースサイトを読む際に特に役立っているのが、ページ全体翻訳機能です。ニュースを読む際はどんどん次のページに遷移していくため、ページごとにいちいち翻訳をする必要がない「ページ全体の自動翻訳機能」を特に利用しています。
デメリットは特に有りませんが、逆に「Advanced」「Ultimate」といった更に高額の利用プランについては利用価値を感じませんでした。
DeepL Proに加入してより迅速に世界中の情報にアクセスしてみては?
DeepLの最大のメリットは自然で高精度の翻訳です。それをより迅速に制限なく利用するために月額1,200円(年払であれば1月あたり1,000円)は十分支払える金額だと考えています。有料プランの加入を検討している人の参考になれば幸いです。