入力することでAIが自動的に文章や画像を生成する「生成AI」。
企業や団体の生産性を大きく上げることが期待されますが、使用が禁止されるシーンもあります。
この記事では、ChatGPTの利用を禁止している企業や団体及び、それぞれの禁止理由を紹介していきます。
ChatGPTの利用を禁止している国内企業・団体
鳥取県
鳥取県の平井伸治知事は4月20日の定例記者会見で対話型の人工知能(AI)「Chat(チャット)GPT」を答弁資料作成や予算編成、政策策定といった県の業務で使用することを当面禁止すると発表しましたが、7月には「試験的に県の業務で使用を始めている」と報じられました。
知事はチャットGPTについて「本当にその地域にフィットした答えが出てくるわけではない。現場で集めてきた情報のほうに価値がある。議会答弁で使うとかいろいろな構想が語られているが、それは民主主義の自殺」と話した。
鳥取県がChatGPT禁止 知事「民主主義の自殺」
島根県情報システム推進課によりますと、「ChatGPT」を使う場合は、個人情報や業務上の機密情報などの重要情報を入力しないことや、作られた文章の事実確認をすること、それに、文章はあくまで「参考」として、対外的な資料では使用しないといったルールを定めているということです。
島根県 生成AI「ChatGPT」試験的に業務で使用
NTTドコモ
NTTドコモは2月にBusiness Insider Japanが行ったアンケートで、ChatGPTの社内利用を認めていないと回答しました。
「弊社では現時点で『ChatGPT』をはじめとして、第三者提供のAI系サービスの利用は認められておりません」(NTTドコモ 広報)
ChatGPTを日本企業はどう使う?「禁止」ドコモ
なお、記事公開後に改めて「ただし、今後社内で利用申請があった場合には活用を検討していく」とコメントしたそうです。
ChatGPTの利用を禁止している海外企業・団体
Apple(アップル)
Apple(アップル)は一部の従業員の人工知能(AI)ツールの使用を禁止した、と5月20日に報じられました。
「従業員が社内の機密データを外部に流出させる可能性がある」という懸念から、大企業では職場で生成AIプラットフォームの使用を制限する動きが相次いでいるようです。
この措置の背景にはAIプラットフォームのデータ取り扱いに対する懸念がある。これらのプラットフォームの一部はアップルのライバルであるMicrosoft(マイクロソフト)が所有または資金援助しており、アップルの専有コードやその他の機密データを損なう可能性があるとウォールストリート・ジャーナルの報道にはある。
アップルも従業員のChatGPT使用を禁止、データ流出を懸念
Amazon(アマゾン)
ChatGPTの回答例の中にアマゾンの内部データと類似しているものが見つかったとして、従業員がOpenAIのチャットボットでコードや機密情報を共有することを禁止したと1月に報じられました。
従業員に対し、ChatGPTに「アマゾンの機密情報(自分が作業中のアマゾンコードを含む)」を書き込まないよう注意喚起している。また、ChatGPTが生成する回答の中にはアマゾンの内部データと似ている「事例」があることから、従業員は同社の利益相反および機密保持ポリシーに従うよう呼びかけている。
アマゾン社員が業務でChatGPTを利用する事案が発生
JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)
JPMorgan Chaseは機密性の高い金融情報の共有をめぐる規制違反の懸念からChatGPTの社内利用を大幅に制限した、と2月に報じられました。
Bloombergによると、今回の使用禁止は特定の出来事や不祥事がきっかけというわけではなく、同社の「サードパーティソフトウェアに関する通常の管理」の一環であるという。この制限は、金融サービス大手のさまざまな部門の従業員に適用されると同報告は付け加えている。Telegraphは以前、この決定は、機密性の高い金融情報がチャットボットと共有され、規制措置につながる可能性があることを懸念して行われたと報じていた。
JPモルガン・チェースも従業員によるChatGPTの利用を制限
サムスン電子
サムスン電子は、エンジニアが社内機密のソースコードをChatGPTにアップロードし、誤って流出させたことが発覚したことを受けて「生成AI」ツールの使用禁止を社内に通知した、と5月に報じられました。
サムスンは、AIチャットボットに共有されたデータがOpenAIやマイクロソフト、グーグルといったAIサービス運営企業のサーバーに保存され、容易にアクセスや削除ができない状態になることを懸念。さらに、ChatGPTなどと共有された機密データが最終的に他のユーザーに提供されてしまうことも懸念しているという。
サムスン、ChatGPTの社内使用禁止 機密コードの流出受け
中国
中国政府は2月下旬までに、国内企業に対し、チャットGPTの使用を停止するよう指示しました。
国営の中国中央テレビは「チャットGPTは極端な言説や虚偽情報をまき散らすリスクがある」と報じました。
一方で中国産生成AIの開発を目指し、「官民を挙げて生成人工知能(AI)の開発に力を入れている」とも報じられています。
政府は新疆ウイグル自治区での人権侵害は存在しないとの立場だが、チャットGPTは強制労働などを指摘する回答を示していた。
中国が対話型AIを警戒、「ChatGPT」は使用停止に…政府見解と異なる回答で
中国が官民を挙げて生成人工知能(AI)の開発に力を入れている。データの安全などを名目に米オープンAIの「チャットGPT」などの利用を国内で規制する中、政府は米国に頼らない開発環境をつくろうと躍起だ。企業側も画像、動画、音声など多様な生成AIの独自開発を進め、先行する米国を追う。
「ChatGPTは中国の倫理に合わない」 中国が生成AI開発を急ぐ真の狙いは
イタリア(解除済)
イタリア当局は3月末、安全対策上の懸念によりチャットGPTを一時的に禁止すると表明しましたが、4月29日には一時使用禁止を解除したと発表しました。
イタリアのデータ保護当局は28日、対話型の人工知能(AI)「Chat(チャット)GPT」の一時使用禁止を解除したと発表した。開発した米新興のオープンAIが、個人データの取り扱いについて改善策を導入したことで容認に転じた。当局は今後も調査を続けるとしている。
イタリア当局は3月末にチャットGPTを一時的に禁止すると表明。4月12日にはオープンAIに対し、個人情報保護や年齢確認の仕組みを導入し、利用者などに公表するように要請していた。
イタリア、ChatGPTの一時禁止を解除 使用条件満たす
以上、ChatGPTの利用を禁止している企業や団体とその理由でした。