生成AIを開発・提供する日本企業と団体11選

テキストやデータを入力することでAIが自動的に文章や画像を生成する「生成AI」を独自開発する日本企業があります。
ChatGPTのように多くの人に使われる日本発のサービスが出てくるかもしれません。
この記事では、生成AIを開発・提供する日本企業と団体、そしてそのサービスの特長を紹介します。

東京大学松尾研究室の生成AI:Weblab-10B

東京大学松尾研究室は8月18日、日本語・英語の2ヶ国語に対応した100億パラメータサイズの大規模言語モデル(LLM)を事前学習と事後学習(ファインチューニング)により開発し、モデルを公開したと発表しました。

松尾研は、日本語だけでなく英語のデータセットも学習に用いることで学習データ量を拡張し、言語間の知識転移を行うことで日本語の精度を高めることを目的とした100億パラメータサイズの大規模言語モデル“Weblab-10B”を開発し、オープンソースとして公開しました。

オープンソースの日本語大規模言語モデルで最高水準

NECの生成AI:NEC Generative AI Service

NECは7月6日、高度な日本語能力を有する生成AIを独自開発したと発表しました。
同社が開発するLLMの特長は以下の通りです。

・高い日本語能力:業務で求められる知識量及び文書読解力で、トップクラスの性能を達成

・軽量:モデルサイズがコンパクトで、標準的なGPUサーバで動作するとともに、お客様の業務に特化させたLLMが短期間で容易に構築可能

NEC、日本市場向け生成AIを開発・提供開始

NTTデータの生成AI:LITRON® Generative Assistant

NTTデータは、社内規定や業務関連資料、外部の公開データなど多様なデータを生成AIとセキュアに連携させて回答文を作成する“LITRON® Generative Assistant(以下、本サービス)”を開発し、6月29日より提供を開始しました。
同社が提供するLLMの特長は以下の通りです。

・生成AIが導き出した回答根拠を明示

・セキュリティー機能を一括提供し業務適用支援を実施

・多様なデータを参照可能な生成AIシステムを早期に提供

多様なデータを連携させて根拠ある回答文を作成する生成AIサービスを提供開始

富士通の生成AI:Fujitsu Kozuchi (code name) – Fujitsu AI Platform

富士通は消費者の店内行動データをもとに、生成AIを活用してデジタルサイネージ上にアバターや販促コンテンツを生成する購買促進AI技術を開発した、と8月2日に発表しました。
2023年8月3日から10月15日まで、山口県のアルク三田尻店にて実証実験を行います。

スーパーマーケット内に設置するデジタルサイネージのアバターによる商品自動推薦機能において、開発した購買促進AI技術を適用する実証実験を行います。具体的には、店内に設置するカメラ映像から、「Actlyzer」によって来店者の行動パターンや購買特性を認識および分析し、それに合わせて適切なアバターが、事前に生成AIをベースに作成した各商品を推薦する文章を読み上げる形で、デジタルサイネージ上で商品を自動で推薦します。アバターは生成AIで生成され、映像から認識した商品推薦の成否のデータを基に、より適切なアバターへと随時改善され、以降の接客時に活用されます。実証実験の期間を通じ、アバターによる商品自動推薦の効果やアバターの改善効果、店舗や商品の売上への貢献などの有効性を検証します。

本実証実験は、顔など個人を特定する情報が映像に映りこんだとしてもそれらの情報は用いず、個人を特定できないデータ形式で処理した上で実施します。

生成AIを活用した実店舗における購買促進AI技術を開発

サイバーエージェントの生成AI:独自の日本語LLM

サイバーエージェントは5月11日、独自の日本語LLMを開発したと発表しました。
同社が提供するLLMの特長は以下の通りです。

・130億パラメータまでの開発が完了

・当社が提供する「極予測AI」「極予測TD」「極予測LP」などAIを活用した広告クリエイティブ制作領域のサービスにおいて活用を始めている

サイバーエージェント、独自の日本語LLM(大規模言語モデル)を開発

情報通信研究機構(NICT)の生成AI

国立研究開発法人情報通信研究機構は7月4日、日本語に特化した400億パラメーターの生成AI(LLM)を開発したと発表しました。

これは試作であり、今回の開発で得た知見をもとに、さらに大規模な1790億パラメーターのLLMを開発中だという。

今回の開発で使用した350GBのウェブテキストは、識別系言語モデルの開発にも用いられており、ノイズに相当するテキストが少ない高品質なもの。

従来のノウハウも用いて事前学習・検証を行い、4カ月程度で開発を完了。ファインチューニングや強化学習はこれからであり、性能面ではChatGPTなどと比較できるレベルではないが、日本語でのやり取りが可能な水準に到達しているとしている。

NICT、日本語に特化した400億パラメーターの生成AIを開発

日立製作所|生成AIを開発中

日立製作所は5月25日、自社の技術とChatGPTなど海外の生成AIを組み合わせた独自のAIを開発し、自社が手がける事業で活用すると発表しました。

これまで日立製作所は、ビッグデータの分析や音声認識などに関するAIの研究を続けてきましたが、ChatGPTなど海外の生成AIを組み合わせた独自のAIを開発し、自社が手がける鉄道や産業機器などの事業で活用することにしています。

日立製作所 自社の技術と生成AIを組み合わせた独自のAI開発へ

文部科学省|生成AIを開発予定

7月29日に「文部科学省は2024年度から科学研究に特化した生成AI(人工知能)を開発する」と報道がありました。

実験画像や論文データを学習させて新発見につながる仮説を生成し、より効率的な研究モデルを作る。研究に使う生成AIの基盤モデルを海外製に依存すると重要技術が流出する恐れもあり、国産化で研究開発(R&D)の安全性と国際競争力を高める。

文科省が生成AI開発、仮説や実験立案 技術流出防ぐ

ソフトバンク(SB Intuitions)|生成AIを開発中

ソフトバンクは8月4日、開発を進める独自の生成人工知能(AI)について「来年いっぱいは(計算基盤の)学習期間だと考えている」と述べ、令和7年以降の提供開始を目指していることを明らかにしました。

また同日、AIの研究開発などを担う新子会社「SB Intuitions(エスビーインテュイッションズ)」(東京都港区)の活動を始めると発表。日本語に特化した国産大規模言語モデル(LLM)の研究開発や生成AIサービスの開発、販売、提供などの事業を手掛けます。

同社には経済産業省が7月7日に、文章や画像などを自動で作る生成AIについて国内での独自の開発を支援するため約53億円の補助金を出すと発表しています。

ソフトバンクは、独自の生成AIの開発を目指して新会社をことし3月に設立し、およそ200億円を投じて開発に必要なスーパーコンピューターを整備することにしていて、経済産業省はおよそ53億円を補助します。

会社では補助金を活用して、アメリカのエヌビディア製のAI向けの高性能な半導体を採用する方針で、国内トップクラスの計算処理能力を確保するとしています。

ソフトバンクに補助金 約53億円 生成AI開発支援で 経産省

NTT|生成AIを開発中

NTTは法人向けの生成AIサービスを年度内に提供する予定です。
NTTが提供を目指す生成AIの特長は以下の通りです。

・金融や医療分野などで法人向けに提供

・専門性の高い分野に絞った学習で小型化し、消費電力や運用コストを抑制

「国産」生成AIの開発本格化 NTT、年度内に提供予定

リッジアイの生成AI:さくらインターネットの環境下で構築

AIのコンサル開発を手がけるリッジアイは7月19日、2023年中の生成AI・LLMのプロトタイプ提供を目指し開発を開始したと発表しました。
開発体制についての詳細は以下の通りです。

リッジアイでは、業務や目的に合わせた目的特化型の生成AIの開発を、国産のクラウド提供事業者であるさくらインターネット株式会社の環境下で構築し、企業および官公庁が安心・安全に利用できるAIの開発支援・提供を実現します。研究開発チームには自然言語AI領域で豊富な経験を持つ株式会社バオバブの協力の下、世界的なNLP研究者であるGraham Neubig氏がアドバイザリーとして参画します。

「安心して使える」国産の生成AI・大規模言語モデル(LLM) の開発を開始

以上、生成AIを開発・提供する日本企業でした。