どんな言語も高精度に自然な日本語に変換してくれる翻訳ツール「DeepL」に注目が集まっています。翻訳ツールはこれまで「Google翻訳」を使う人が多かったですが、AIにも使われるニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)を活用する「DeepL」の利用者は大きく増加しています。
本記事では、DeepLの機能や使い方、利用するメリット・デメリット、Google翻訳との違いについても解説していきます。
DeepLはディープラーニングを活用した高精度翻訳サービス
ドイツのケルンに本社をおくDeepL社が開発する高精度翻訳サービス「DeepL」の基本的な仕組みや情報について解説します。DeepLは2017年に公開され、2020年より日本語でも利用が可能になりました。
DeepLは機械翻訳?機械学習?深層学習(ディープラーニング)?
DeepLについて説明する時に最もよく使われる言葉が「機械翻訳」という言葉です。「機械翻訳」とはある言語を別の言語にコンピュータを用いて変換するサービスのことを指します。そのため、DeepLは機械翻訳サービスであるという説明は正しいです。
AIについて興味関心がある方は似たような言葉で「機械学習」という言葉を聞いたことがあるでしょう。機械学習とは、大量のデータを元にプログラムがルールやパターンを学習することでタスクをこなせるようにするための仕組みのことを指します。また似たような言葉で「深層学習(ディープラーニング)」という言葉があります。これは機械学習の更に進化系であり、ニューラルネットワークと呼ばれる仕組みを活用することで、機械学習の重要なパラメータである「特徴量」をコンピュータが自ら探して学習を行うモデルのことを指します。
DeepLはニューラルネットワークを活用した深層学習(ディープラーニング)を活用したサービスでもありますし、もちろん「機械学習を利用したサービスである」とも言えます。
DeepLで翻訳可能な言語
DeepLは31言語に対応しており、800以上の組み合わせで翻訳が可能です。対応している言語は次のとおりです。
イタリア語
インドネシア語
ウクライナ語
エストニア語
オランダ語
ギリシャ語
スウェーデン語
スペイン語
スロバキア語
スロベニア語
チェコ語
デンマーク語
ドイツ語
トルコ語
ノルウェー語(ブークモール)
ハンガリー語
フィンランド語
フランス語
ブルガリア語
ポーランド語
ポルトガル語
ラトビア語
リトアニア語
ルーマニア語
ロシア語
英語
韓国語
中国語
日本語
DeepLの翻訳の仕組み
DeepLは機械学習の中でも「教師あり学習」と呼ばれる大量の学習データを元にアルゴリズムを進化させる仕組みを利用することで、翻訳精度を高めています。また、ニューラルネットワークを用いたディープラーニング(深層学習)により常に進化を続けています。
DeepLの無料版と有料版(DeepL Pro)の違い
DeepLにはDeepL Proと呼ばれる有料版があります。有料版は無料版と比較すると「文字数無制限に翻訳が可能」「セキュリティが高まる」「ファイル翻訳のファイル数制限が緩和され自由度が高まる」などが違いとなります。詳細はこちらの記事も合わせてご覧ください。
DeepL有料版(Pro)は課金の価値がある?無料版との違いや料金を解説Google翻訳・Amazon Translate・Microsoft TranslateとDeepLの違い
日本国内で有名な翻訳サービスといえば、Google翻訳・Amazon Translate・Microsoft Translate、そしてDeepLです。これらと比較してDeepLは非常に高い精度であることをアピールしています。
DeepLを利用する3つのメリットと2つの注意点
DeepL利用メリット①低コストで素早く翻訳が可能
DeepLを含めた機械翻訳サービス(コンピュータによって言語翻訳を行うサービス)の最大のメリットは、素早く少ないコストで翻訳が可能となる点です。例えば、人間が行う翻訳サービスの大手「クリムゾン・ジャパン」によると、人間による翻訳サービスは1文字あたり、10.6円〜となっています。
それと比較するとDeepLは1回あたり5000文字という制限がありつつも無料で翻訳をすることができます。(回数制限はないため、5000文字ずつ区切れば何文字でも翻訳が可能です。)仮に有料プラン(DeepL Pro)であっても月額1000円から無制限に翻訳できることを考えると、人間が行う言語翻訳サービスと比べれば比較にならないほど低コストになります。
また、スピードの観点でも勝ります。DeepLは5000文字の翻訳をたった数秒でやってのけるのに対して、人間の翻訳サービスは数日〜1週間程度かかります。ビジネスにおいてスピードも重要なコストの一つですので、その点においてもDeepLを利用することは大きなメリットがあると言えます。
DeepL利用メリット②自然な日本語への翻訳
オンラインの翻訳サービスを使ったことがある人なら誰もが理解できる感覚が「翻訳サービスっぽい文章」という感覚でしょう。日本語として誤ってはいないのだけれども、どこか少し不自然で、回りくどかったり形式張っていたりする文章への翻訳。これらはDeepLによってもう既に過去のものになりつつあります。
DeepLは大規模モデルを利用し深層学習(ディープラーニング)によって翻訳性能をどんどんと向上させており、もう「翻訳サービスっぽい日本語」と感じない場面が増えてきています。これは他の翻訳サービスと比較したときのDeepLの大きな特徴の一つとなっています。
DeepL利用メリット③ブラウザ連動による新しい翻訳体験
DeepL ProにはGoogle Chromeの拡張機能を利用することで、他言語のWebサイトを表示した際に瞬時に日本語に翻訳してくれる機能があります。これを導入することで「翻訳する」という作業がそもそも不要になり、どの言語のWebサイトやニュースも「何も考えず日本語で読むことができる」ようになるのはDeepLを利用する大きなメリットと言えるでしょう。
DeepL利用注意点①翻訳ミスによる問題は全て自己責任
DeepLがディープラーニングを利用した非常に高い翻訳精度を誇る翻訳サービスだとしても、100%の精度ではないことはしっかりと念頭に入れなければなりません。例えば契約書などの重要文章の翻訳にミスがあったとして損害が発生したとしても、DeepL社がその損害に対して補償をしてくれたりするわけではないので、確実に100%の精度をもって翻訳を行いたい場合は然るべきサービスを利用するべきです。
DeepL利用注意点②機密情報(特に個人情報)は入力しない
DeepLの無料版では入力された文章をDeepLのアルゴリズム改善のために利用する可能性があることを予め告知しています。そのため、社外秘情報等の機密情報の入力は避けるべきでしょう。
有料版であればアルゴリズム改善には使用されないものの、個人情報の入力についてはDeepLが禁止しています。これはDeepL社があるドイツのGDPR(個人情報に関する法律)に関連しての規約となっていると考えられますが、個人情報の入力は絶対に避けるようにしましょう。
DeepLの使用方法
①ブラウザ
DeepLの最も基本的な使い方はブラウザでDeepLの翻訳サービスページにアクセスして翻訳したい文章を貼り付けることです。また、同ページ内で各種ファイル(PDF、ワード、パワーポイント)をアップロードして翻訳することもできます。
②アプリ
DeepLはデバイスに応じて各種アプリを用意しています。PC用(Windows版、Mac版)、スマートフォン用(iOS版、Android版)がそれぞれありますがそれらの機能はほぼ同じですので、ご自身の環境にあったものをインストールすればよいでしょう。
③Chrome拡張
DeepLはGoogle Chromeの拡張機能(プラグイン)を公開しています。アプリ版については、ブラウザ版と比較して大きな違いはあまりありませんが、この拡張機能はChromeユーザーであればインストール必至の非常に素晴らしいものになっています。主に次のようなことが実現可能となります。
- 選択した文章を右クリックですぐにページ遷移をせずに翻訳
- メールやテキストボックスなどに自分が入力した文章をそのまま翻訳
- 表示しているWebサイト全体を翻訳(有料版のみ)
DeepLで世界中の情報にアクセスしよう
本記事では、深層学習(ディープラーニング)を利用した高精度翻訳サービス「DeepL」について解説してきました。AIの力を活用した非常に強力な翻訳サービスですので、「Google翻訳」等を使っているビジネスマンの方もぜひ無料版から使ってみてはいかがでしょうか。