今流行のチャット型AIサービス「ChatGPT」を使って自社サービスに活かせないかと考えている人にとって注目するべき機能が、OpenAI社からサービス提供されている「ChatGPT API」です。この記事では「ChatGPT API」の活用を検討するビジネスマンに向けた使える機能や利用料金などの基本情報から、ChatGPT APIを活用するメリット・デメリットについて解説しています。
ChatGPT APIとは、自社開発サービスとChatGPTをつなぐインターフェース
まず最初に「ChatGPT API」について基本的な解説をしていきます。「ChatGPT API」とはOpenAI社の大規模言語モデル「ChatGPT」を他サービスと連携させるためのインターフェースのことを指します。ChatGPTを利用してAIと対話を行うためにはChatGPTの公式サイトや公式アプリを使うことが基本ですが、「ChatGPT API」を使用することで他のソフトウェアと連携することが可能になりました。
ChatGPT APIを使っているサービスの例
ChatGPTの機能を利用したアプリやWebサービスは多く存在します。いくつか例を挙げると次のとおりです。
「AIチャットくん」LINEのトーク機能を使ってChatGPTと会話をすることができる
「Duolingo Max」 英語学習アプリ内の機能として「特定のシチュエーションにおける会話のロールプレイ学習」を可能とした
ChatGPT APIでできること
ChatGPT APIでは、ChatGPTができることはほぼすべての機能を利用することができます。そのため、次のような機能を自社サービスに組み込むことが可能です。
- 文章の翻訳や要約
- 文章の作成や要約、改善など
- ユーザーとの会話形式による対話
ChatGPT APIでは、GPT-4とGPT-3.5 turboどちらも利用可能
ChatGPTの大規模言語モデルには「GPT-4」「GPT-3.5」の2種類があります。「GPT-4」はOpenAIが公開している最新の言語モデルであり「ChatGPT Plus」と呼ばれる月額20ドルの有料版ChatGPTで使用が可能となるモデルです。一方「GPT-3.5」はChatGPTの無料版で利用することが出来るモデルであり、ほとんどの人が利用したことがあるのはこの「GPT-3.5」でしょう。
ChatGPT APIではこの2種類の言語モデルをどちらも利用することができます。「GPT-3.5」をAPI経由で利用する場合は「GPT-3.5 turbo」と呼ばれ、ChatGPTでGPT-3.5を利用する際と比較すると非常に高速で出力が可能となっています。
ChatGPT APIの利用料金の目安は日本語1万字あたり4.2円
ChatGPT APIの利用料金は利用する言語モデルによって異なります。利用料金は次のとおりです。
利用料金 | (参考)日本語1万字あたり | |
GPT-3.5 turbo | $0.002/1000トークン | 4.2円 |
GPT-4 | $0.03/1000トークン | 63円 |
日本語1文字をやり取りする際の単価については、1ドル140円、日本語1文字1.5トークンとして計算しています。
この価格は業界水準から考えると非常に安いと言われていますが、自社のビジネスとして妥当なコストであるかを考えるとともに次のような点に注意が必要です。
- ChatGPTからの出力文(アウトプット)だけでなく、利用者の入力文(インプット)も課金対象
- 会話の過去のやり取りを踏まえた応答をさせると、過去分についても都度課金が発生する
- 日本語は英語と比較してトークン数が肥大化するので高額になりがち
トークンの考え方や計算方法、日本語と英語の違いについてはこちらの記事も合わせてご覧ください。
ChatGPTの文字数制限と解決方法を解説!返事が途切れる場合についてChatGPT APIを使うメリット・デメリット
メリット①UX(=ユーザーエクスペリエンス)を向上させることが出来る
ChatGPTは非常に高性能なチャット型ジェネレーティブAIであり、まるで人間が返答を瞬時に行っているかのような錯覚を覚えるほど素晴らしいシステムです。この機能を自社サービスに取り入れることで、ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させることが出来る可能性を持っており、自社ユーザーのロイヤリティ向上が期待できると言えるでしょう。
メリット②開発期間を大幅に短縮することが出来る
ChatGPTと同等の機能を開発することは大変なことですが、その一部と似たような機能を開発することは自社でも可能かもしれません。しかし、APIを利用することで開発のための時間を大幅に削減することが出来るのも大きなメリットだと言えるでしょう。
メリット③マーケティング・広報に利用することが出来る
現在ChatGPTに対する注目は日本国内はもちろん世界中から集まっています。自社サービスにChatGPT APIを活用したこと効果的に宣伝することで、高いマーケティング効果を発揮する可能性があります。実際に上場企業ではChatGPTをサービスに取り入れた結果、株価が上がった会社も存在します。
デメリット①API利用料が想定外に膨らんでしまう可能性がある
ChatGPT APIの利用料金は使った分だけ支払う従量課金性となっています。API利用料は$0.002/1000トークンとなっており、日本語で概算すると1万文字あたり4.2円となっています。この金額だけを見ると非常に安価で、高額に膨らむイメージは持ちにくいですが、何も考えずにサービスに載せてしまうとトークンが大きく膨らんでしまう結果になる可能性があります。
APIのトークン使用量を抑えるコツとしては次のようなものが挙げられます。
- ユーザー1人あたりの1日あたりの送信回数に上限を設定する
- max_tokensのパラメータに上限を設定し、回答が長くなりすぎないようにする
- 過去のやり取りを全て通信にのせないようにする
- 利用者の入力分を英語に翻訳した上でAPIに流すことでトークン量を削減する
デメリット②トラブルや問い合わせ量が増加してしまう可能性がある
自社サービスにChatGPT APIを利用した機能を追加した場合にも、利用者から見るとそれはChatGPTのサービスではなくその会社のサービスです。ChatGPTからの返答が誤っていたりする場合などにトラブルになってしまう可能性や問い合わせが増えてしまう可能性が考えられます。
利用者にはChatGPTを使っていることや、その回答の正確性を保証しないことなどをしっかりと認識してもらう工夫をすることが必要です。