GoogleのAIモデル「Gemini(ジェミニ)」とは?特徴や他サービスとの比較を解説

Geminiは、Googleが開発した最新の高性能AIモデルのことです。「モデル」というのは、AIの頭脳のようなもの。
人間のように、文章を理解したり、質問に答えたり、文章や画像、コードなどを作り出したりできます。
この記事ではGeminiの特徴を他の生成AIと比較しながら解説します。

BardからGeminiへの移行

これまでGoogleには「Bard(バード)」という対話型AIサービスがありましたが、2024年2月に、その基盤となるAIモデルがより強力なGeminiに置き換わり、サービス名も「Gemini」に統一されました。

なお、これは単なる名前の変更ではありません。
Googleがこれまで開発してきたAI技術を結集し、さらに進化したAIができたことを示すためです。

  • Bard: 主にテキストでの対話を得意としていました。
  • Gemini: テキストだけでなく、画像、音声、動画、プログラミングコードなど、様々な種類の情報(これをマルチモーダルと言います)を同時に理解し、処理できる能力が大幅に向上しました。

GoogleはこのGeminiを、検索やアシスタントなど、様々なサービスの中核に据えていくことを目指しています

Geminiの主な特徴

Geminiにはいくつかの大きな特徴があります。

  • マルチモーダル能力:
    • テキスト(文章)だけでなく、画像を見せて「これは何?」と質問したり、音声で指示を出したり、動画の内容を要約させたりできます。
    • 例えば、講義ノートの写真を見せて「この部分を分かりやすく説明して」と頼んだり、グラフの画像を読み込ませて傾向を分析させたりすることが可能です。
  • 高度な思考力・推論力:
    • 複雑な質問に答えたり、難しいテーマについて深い考察をしたりする能力が高いです。
    • レポートの構成案を考えたり、プログラミングのコードの間違いを見つけたり、アイデア出しの壁打ち相手になったりしてくれます。
  • 柔軟なモデルサイズ:
    • 実はGeminiには、性能や用途に合わせて3つのサイズがあります。
      • Gemini Ultra: 最も高性能で、非常に複雑なタスクに対応(有料プランなどで利用可能)。
      • Gemini Pro: 高性能と効率のバランスが取れた主力モデル(現在の無料版GeminiやBardの基盤)。
      • Gemini Nano: スマートフォンなどのデバイス上で効率的に動作するように設計された軽量モデル。
    • これにより、高性能な処理が必要な場面から、スマホでサッと使いたい場面まで、幅広く対応できます。
  • Googleサービスとの連携:
    • Google検索、Gmail、Googleドキュメント、Googleマップなど、皆さんが普段使っているGoogleのサービスと連携して、さらに便利に使うことができます(拡張機能など)。
    • 例えば、「先週の〇〇さんとのメールを探して要約して」とか、「〇〇についての資料をGoogleドライブから探して」といった指示ができるようになる可能性があります。

他の主な生成AI(ChatGPなど)との違い【概要】

AIチャットボットとして有名なものに、OpenAI社の「ChatGPT」やMicrosoft社の「Copilot」があります。
特徴比較の概要は以下の通りです。

Gemini: Googleのサービスをよく使う人、画像や音声など色々な情報を扱いたい人、最新情報に基づいた回答が欲しい人に向いています。

ChatGPT: 自然でクリエイティブな文章を作りたい人、アイデアの壁打ちをしたい人、特定の分野について深く知りたい人に向いています。

Copilot: WordやExcel、PowerPointなどMicrosoftのソフトをよく使う人、仕事やレポート作成で効率を上げたい人に向いています。

他の主な生成AI(ChatGPなど)との違い【詳細】

以下、主要3サービスの強みや連携先などを比較します。

Gemini (Google)ChatGPT (OpenAI)Copilot (Microsoft)
基盤モデルGemini (Ultra, Pro, Nano)GPT-4, GPT-3.5 などGPT-4などを基盤 (Microsoftがカスタマイズ)
強みマルチモーダル能力、Googleサービスとの連携、最新情報自然な文章生成、創造性、幅広い知識Microsoft 365 (Word, Excel等)との連携、ビジネス用途
マルチモーダル高い (画像、音声、動画なども扱える)対応しつつある (画像入力など)対応しつつある (画像生成など)
情報鮮度Google検索と連携し、比較的新しい情報にアクセス可能学習データに基づく(一部最新情報も検索可能)Bing検索と連携し、比較的新しい情報にアクセス可能
主な連携先Google Workspace (Gmail, Docsなど), Android様々なサービスにAPI提供Windows, Microsoft 365 (Office), Edgeブラウザ
Gemini、ChatGPT、Copilotの比較表

Geminiの基本的な使い方

Geminiを効果的に活用するためには、「プロンプト」と呼ばれる指示文を適切に入力することが非常に重要です。プロンプトは、Geminiにどのようなタスクを実行してほしいかを伝えるための命令文です。

効果的なプロンプトを作成するためのポイント

  1. 明確な指示: 何をしてほしいかを具体的に記述します。「〇〇について教えて」だけでなく、「〇〇のメリットとデメリットを3つずつ箇条書きで教えて」のように、具体的な形式や内容を指定すると、より期待通りの回答が得られやすくなります。
  2. 役割の設定: Geminiに特定の役割を与えることで、より専門的な視点からの回答を得ることができます。「あなたは〇〇の専門家です。〇〇について説明してください」のように指示します。
  3. 文脈の説明: Geminiがタスクを実行する上で必要な背景情報や文脈を伝えます。「〇〇という状況で、〇〇という課題があります。この課題を解決するためのアイデアを3つ提案してください」のように、具体的な状況を説明することで、より適切な提案が期待できます。
  4. 制約の指定: 回答の長さや形式、含めてほしい情報などを具体的に指定します。「200字以内で要約してください」「箇条書きで3つ提案してください」「〇〇というキーワードを含めてください」のように指示します。
  5. 質問の意図を明確にする: なぜその情報を知りたいのか、その情報をどのように活用したいのかを伝えることで、Geminiはよりあなたのニーズに合った情報を提供してくれる可能性が高まります。

プロンプトの例や活用シーンの詳細は以下の記事をご覧ください。

以上、Geminiの特徴と他サービスの比較解説でした。
ぜひ一度、実際にGeminiに話しかけて、その能力を体験してみてください。