生成AIは、テキスト、画像、コードなど、多様なコンテンツを自動生成する能力を持ち、ビジネスプロセスや日常生活に革命をもたらす可能性を秘めています 。そしてこれらの強力なツールを最大限に活用するには、AIに対する指示、すなわち「プロンプト」の質が決定的な鍵となります 。
プロンプトエンジニアリングとは、AIが意図した通りの、あるいは期待以上の高品質な出力を生成するように、効果的なプロンプトを設計・最適化する技術やスキル体系を指します 。
生成AI、特に大規模言語モデル(LLM)は、人間のように言語を理解しているわけではありません 。膨大なテキストデータから学習したパターンに基づいて、次に来る確率が最も高い単語やフレーズを予測し、テキストを生成します 。そのため、AIがユーザーの意図を正確に解釈し、望ましい応答を生成するためには、曖昧さを排し、具体的で明確な指示を与えるプロンプトが不可欠となるのです 。
この記事では、生成AIへの効果的なプロンプトを作成するための基本原則と具体的なテクニックを解説し、様々な用途に応じた実践的なプロンプト例を30個提示します。
効果的なプロンプト作成の基本原則とテクニック
生成AIから質の高い出力を得るためには、いくつかの基本原則とテクニックを理解し、適用することが重要です。これらは、AIとのコミュニケーションを円滑にし、意図した結果を得る確率を高めます。
明確性と具体性:AIに意図を正確に伝える
AIは指示された内容を文字通り解釈しようとしますが、人間の意図や暗黙の了解を読み取ることはできません 。したがって、プロンプトは可能な限り明確かつ具体的に記述する必要があります 。
- 曖昧さの排除: 「面白い話」や「良いアイデア」のような主観的で曖昧な表現は避け、「小学生向けのユーモラスな短編小説」や「コスト削減に繋がる具体的な業務改善案3つ」のように、具体的で客観的な言葉を選びます 。
- 詳細情報の追加: 5W1H(誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように)を意識し、必要な背景情報や文脈を提供します 。例えば、「天気予報を教えて」ではなく、「明日の東京の最高気温と降水確率を教えて」のように具体化します 。ターゲット読者、文体(トーン)、目的などを指定することも有効です 。
- スコープの限定: 求める情報の範囲を限定します 。例えば、「AIについて教えて」ではなく、「AIの歴史を初心者向けに200文字以内で説明して」のように、対象範囲や文字数を指定することで、AIは焦点を絞った回答を生成しやすくなります 。
コンテキストと役割(ペルソナ)の設定
プロンプトに適切な文脈(コンテキスト)を提供し、AIに特定の役割(ペルソナ)を与えることで、出力の質と関連性を大幅に向上させることができます 。
- コンテキストの提供: AIが応答を生成するために必要な背景情報を提供します 。例えば、単に「この文章を編集して」と指示するのではなく、「以下の文章を、専門知識のない読者にも理解できるように、より平易な言葉で書き直してください:[文章]」のように、編集の目的や対象読者といった文脈を加えます 。
- 役割(ペルソナ)の設定: AIに特定の専門家やキャラクターになりきって回答するように指示します 。例えば、「あなたは経験豊富なマーケティングコンサルタントです。中小企業向けのSNS活用戦略を提案してください」と役割を与えることで、その視点に基づいた専門的な回答が期待できます 。役割設定は、回答のトーンやスタイル、専門性のレベルをコントロールするのに役立ちます 。
出力形式の指定によるユーザビリティ向上
AIに生成してほしい情報の形式を明確に指定することは、得られた出力を後続の作業で効率的に利用するために非常に重要です 。
- 形式指定の重要性: 「箇条書きで出力してください」、「JSON形式で結果を返してください」、「Markdown形式の表を作成してください」といった具体的な形式を指定することで、AIは要求された構造で情報を提供します 。
- 後処理の削減: 出力形式が事前に定義されていれば、生成されたテキストを手作業で整形し直す手間が省け、他のツールやプロセスとの連携もスムーズになります 。例えば、プログラムコードを生成させる場合、コード本体、実行結果例、コードの解説をそれぞれ分けて出力するように指示できます 。
具体例による精度向上(フューショット・プロンプティング)
AIに対して、期待する応答の具体的な例をいくつか提示する「フューショット・プロンプティング(Few-shot Prompting)」は、特に複雑な指示や特定のスタイルが求められる場合に有効なテクニックです 。これは、例を提示せずに直接指示を与える「ゼロショット・プロンプティング(Zero-shot Prompting)」 と対比されます。
- フューショットの利点: 例を示すことで、AIは指示だけでは伝わりにくいニュアンス、フォーマット、論理展開、文体などを学習し、より要求に近い出力を生成できるようになります 。これはAIの「文脈内学習(In-context Learning)」能力を活用するものです 。
- 適用例: 文章の分類(例:ポジティブ/ネガティブ判定)、特定の文体への変換、データフォーマットの統一、複雑な指示への対応などに有効です 。例えば、特定の詩の形式(短歌など)で文章を作成させたい場合、いくつかの短歌の例を示してから指示を与えます 。
複雑なタスクの分解
一度に多くの要求を詰め込んだ複雑すぎるプロンプトは、AIを混乱させ、期待通りの結果を得られない原因となります 。複雑なタスクは、より小さな複数のサブタスクに分割し、段階的に指示を与える方が効果的です 。
- 段階的アプローチ: 例えば、新しいビジネスアイデアを考案する場合、まず「アイデアを20個リストアップしてください」と指示し、次に「それらのアイデアをカテゴリ別に分類してください」、最後に「結果を表形式でまとめてください」のように、ステップを分けてプロンプトを入力します 。
- 利点: 各ステップでAIの出力を確認し、必要に応じて指示を修正できるため、最終的な出力の質を高めることができます。また、AIが各段階の指示に集中できるため、処理の精度が向上します。
プロンプトの構造化による明瞭性の確保
プロンプトの内部構造を整理し、指示、文脈、入力データ、例などを明確に区別することで、AIの解釈精度を高めることができます。
- 区切り文字の使用: 指示部分とコンテキスト部分、あるいは入力データなどを明確に分離するために、「###」や「—」、「”””」のような区切り記号や、XMLタグを使用することが推奨されます 。これにより、AIは何が指示で何が付加情報かを正確に認識しやすくなります 。
- 論理的な順序: プロンプトは論理的な流れで構成することが望ましいです。多くの場合、まず役割や大目標を示し、次に文脈、具体的な指示や制約条件、入力データ(もしあれば)、そして最後に出力形式を指定するという流れが効果的です 。
- 記号や書式: プロンプト内で「#」を見出しのように使ってセクションを区切ったり、「<>」や「」をプレースホルダーや変数として使用したりすることで、プロンプト自体の可読性と構造性を高めることができます 。
反復的なプロセス:テストによるプロンプトの改善
完璧なプロンプトを一度で作成することは稀であり、多くの場合、試行錯誤と改善のプロセスが必要です 。
- シンプルな開始: まずは簡単なプロンプトから始め、AIの応答を確認しながら、徐々に詳細度や複雑性を加えていくアプローチが有効です 。
- 評価と調整: 生成された出力が期待通りか、事前に定めた成功基準を満たしているかを評価します 。もし満足のいく結果でなければ、プロンプトの内容(指示の具体性、文脈の追加、例の質など)を見直し、再度試行します。この反復的な改善サイクルを通じて、より効果的なプロンプトへと洗練させていきます 。
高度な戦略(概要)
基本的なテクニックに加え、特定のタスクや目的に応じて、より高度なプロンプティング戦略も存在します。
- 思考の連鎖(Chain-of-Thought, CoT)プロンプティング: AIに最終的な回答を出す前に、段階的な思考プロセスや推論のステップを記述させる手法です。これにより、特に複雑な推論や計算が必要なタスクでの精度が向上することが示されています 。
- ネガティブプロンプト: 主に画像生成AIで用いられ、生成結果に含めて「ほしくない」要素を指定する手法です 。
- 知識生成プロンプティング: AIにあらかじめ関連知識を与え、それを基に応答を生成させる手法です 。
- 特化型テクニック: 特定の思考法(水平思考、垂直思考、デザイン思考など )を指定したり、創造的な表現(感覚的描写、比喩、視点変更など )を引き出すためのテクニックも、目的に応じて活用できます。
これらのテクニックを理解し、組み合わせることは、生成AIとの対話をより洗練されたものにします。効果的なプロンプト設計は、問題を小さなステップに分解し、入力と出力を明確に定義し、制約条件を指定し、結果に基づいて反復的に改善するという、ある種のアルゴリズム的思考プロセスに似ています。タスク分解 は問題分割に、役割や制約、出力形式の指定 は関数定義に、例示(フューショット) はテストケースの提供に、そして反復的な改善プロセス はデバッグや最適化のサイクルに対応します。思考の連鎖 は、論理的なステップを追跡するプロセスを促します。このため、論理的思考や計算論的思考に慣れているユーザーはプロンプトエンジニアリングを直感的に理解しやすいかもしれませんが、そうでないユーザーも、このような構造化されたアプローチを採用することで、AIとの対話の質を高めることができるでしょう。
主要なユースケース別 実践プロンプト例30選
生成AIは、その多様な能力により、幅広い用途で活用されています。主な応用分野としては、文章作成・編集 、要約・情報抽出 、翻訳 、ブレインストーミング・アイデア生成 、コーディング支援 、分析 、学習・解説 、カスタマーサービス 、マーケティング などが挙げられます。
以下では、これらの一般的なタスクの中から代表的なものを選択し、具体的なプロンプト例を合計30個紹介します。
各例には、利用シナリオ、プロンプト本文、そしてそのプロンプトが効果的である理由(適用されているテクニック)についての簡単な解説を付記します。
文章作成・編集 (例 1-5)
このカテゴリでは、メール作成、ブログ記事構成、文章の書き換え、マーケティングコピー生成、物語創作など、様々なテキスト生成・編集タスクのプロンプト例を示します。
例1:会議後のフォローアップメール(フォーマル)
- シナリオ: 重要な商談の後、参加者へのお礼と決定事項の確認、次のステップを伝えるフォーマルなメールを作成したい。
- プロンプト:
あなたはプロフェッショナルなビジネスパーソンです。 以下の会議内容に基づき、参加者全員([参加者名リスト])宛てのフォローアップメールを作成してください。 ### 会議情報 - 日時: [会議日時] - 議題: [会議議題] - 決定事項: - [決定事項1] - [決定事項2] - 次のアクション: - [担当者名]: [アクション内容] (期限: [期限日]) - [担当者名]: [アクション内容] (期限: [期限日]) ### 指示 - 件名には会議議題と日付を含めること。 - 丁寧語(ですます調)を使用し、フォーマルなトーンで書くこと。 - まず会議参加へのお礼を述べる。 - 次に、主要な決定事項を簡潔にまとめる。 - 各担当者の次のアクションとその期限を明確に記載する。 - 最後に、今後の協力をお願いする言葉で締めくくる。 - 全体で400字程度に収めること。 ### 出力形式 - メールの件名と本文
- 解説: 役割(ビジネスパーソン)を設定し 、会議情報という具体的なコンテキストを提供 。指示セクションで、含めるべき内容、トーン、構成、文字数といった詳細な要件と制約を箇条書きで明確に指定 。出力形式も指定することで 、AIは構造化された質の高いメール文面を生成しやすくなります。
例2:ブログ記事の構成案作成
- シナリオ: 「リモートワークの生産性向上術」というテーマで、IT企業の若手社員をターゲットにしたブログ記事を書きたい。そのための構成案(アウトライン)を作成してほしい。
- プロンプト:
あなたは経験豊富なコンテンツライターです。 以下のテーマとターゲット読者に基づき、魅力的なブログ記事の構成案を作成してください。 ### テーマ リモートワークの生産性を向上させるための具体的な方法 ### ターゲット読者 IT企業に勤務する20代~30代前半の若手社員 ### 指示 - 読者の興味を引く導入部(フック)のアイデアを含むこと。 - 主要なセクション(例:時間管理、コミュニケーション、環境整備など)を3~5つ提案すること。 - 各セクションで取り上げるべき具体的なトピックやヒントを箇条書きで示すこと。 - 若手社員が共感しやすい、実践的な内容を重視すること。 - 読後に行動を促すような、力強い結論のアイデアを含むこと。 ### 出力形式 - 見出しと箇条書きを用いた階層的な構成案
- 解説: 役割(コンテンツライター)とテーマ、ターゲット読者を明確に指定 。構成案に含めるべき要素(導入、主要セクション、具体例、結論)を指示し、ターゲットに合わせた内容(実践的、共感的)を要求 。出力形式(階層的な構成案)を指定することで 、そのまま記事執筆に利用しやすいアウトラインを得られます。
例3:技術的な文章の平易化
- シナリオ: 製品マニュアルに含まれる専門用語が多い技術的な説明文を、専門知識のない一般ユーザーにも理解できるように書き直したい。
- プロンプト:
あなたはテクニカルライターであり、複雑な情報を分かりやすく説明する専門家です。 以下の技術的な文章を、専門用語を避け、中学生にも理解できるような平易な言葉で書き直してください。比喩や簡単な例え話を適宜使用してください。 ### 元の文章 [ここに元の技術的な文章を挿入] 例:「本デバイスは、IEEE 802.11ax規格に準拠したWi-Fi 6テクノロジーを採用しており、OFDMAおよびMU-MIMO技術により、高密度環境下においても複数デバイス同時接続時のスループットを最大化し、低遅延通信を実現します。」 ### 指示 - 専門用語(例:IEEE 802.11ax, Wi-Fi 6, OFDMA, MU-MIMO, スループット, 低遅延)は使わないか、非常に簡単な言葉で説明する。 - 文章全体の意味や重要なポイントは変えないこと。 - 比喩や身近な例を使って、技術の利点を分かりやすく伝えること。 - 150字程度でまとめること。 ### 出力形式 - 書き直した文章
- 解説: 役割(テクニカルライター)と書き換えの目的(平易化)、対象読者(中学生レベル)を明確化 。元の文章というコンテキストを提供 。具体的な指示(専門用語回避、比喩の使用、意味の維持)と制約(文字数)を与え 、期待する書き換えを実現します。
例4:マーケティングコピーのA/Bテスト用バリエーション作成
- シナリオ: 新しいオンライン学習サービスの広告用に、異なる切り口のキャッチコピーを複数作成し、A/Bテストを行いたい。
- プロンプト:
あなたは創造的なコピーライターです。 以下のサービス概要に基づき、ターゲット顧客に響くような広告用キャッチコピーを5パターン作成してください。各パターンで訴求ポイントを変えてください。 ### サービス概要 - サービス名: [サービス名] - 内容: AIが個人の学習進捗に合わせて最適化した学習プランを提供するオンラインプラットフォーム - 特徴: 効率的な学習、苦手分野の克服、柔軟なスケジュール - ターゲット顧客: 資格取得を目指す社会人、スキルアップしたいビジネスパーソン ### 指示 - 各キャッチコピーは30文字以内とする。 - パターン1: 「効率性」を強調する - パターン2: 「苦手克服」を強調する - パターン3: 「柔軟性(時間や場所を選ばない)」を強調する - パターン4: 「AIによる個別最適化」という新規性を強調する - パターン5: ターゲット顧客の「目標達成」を刺激する ### 出力形式 - 5つのキャッチコピーを番号付きリストで提示
- 解説: 役割(コピーライター)とサービス概要(コンテキスト)を提供 。明確な目的(A/Bテスト用バリエーション作成)とターゲット顧客を指定 。指示で各パターンで強調すべき訴求ポイントと文字数制限を具体的に指定 。これにより、多様な切り口のコピー案を効率的に生成できます。
例5:クリエイティブな物語のアイデア生成
- シナリオ: 次に書く短編小説のアイデアが欲しい。いくつかのキーワードを基に、意外性のある物語のあらすじを生成してほしい。
- プロンプト:
あなたは想像力豊かなストーリーテラーです。 以下のキーワードをすべて含み、読者が驚くような展開を持つ短編SF小説のあらすじ(プロット概要)を3つ提案してください。 ### キーワード - 古い灯台 - 猫 - 時間旅行 - 忘れられた約束 ### 指示 - 各あらすじは、主要な登場人物、設定、物語の核となる対立や謎、そして意外な結末のヒントを含むこと。 - 各あらすじは300字程度で記述すること。 - SF要素(時間旅行)を独創的な方法で組み込むこと。 - 「忘れられた約束」が物語の重要な鍵となるように構成すること。 ### 出力形式 - 3つのあらすじ案をそれぞれ区切って提示
- 解説: 役割(ストーリーテラー)を設定 。必須要素としてキーワードを指定し、ジャンル(SF)、文字数、含めるべき構成要素(登場人物、設定、対立、結末)、物語の要件(意外性、キーワードの活用法)を具体的に指示 。これにより、与えられた制約の中で創造的な物語の種を得ることができます 。
要約・情報抽出 (例 6-9)
大量のテキストデータから重要な情報を効率的に抜き出すためのプロンプト例です。記事の要約、議事録からのアクション抽出、レポートからの数値抽出、顧客フィードバックの分析などが含まれます。
例6:長文記事の箇条書き要約
- シナリオ: 専門的な内容の長い研究論文を読む時間がないため、主要なポイントを素早く把握したい。
- プロンプト:
あなたはリサーチアシスタントです。 以下の研究論文のテキスト全体を読み込み、その主要な発見、結論、および意義を、5つの重要なポイントに絞って箇条書きで要約してください。専門用語は必要最小限にし、簡潔な表現を心がけてください。 ### 対象テキスト [ここに研究論文のテキスト全体を貼り付け] ### 指示 - 最も重要な発見や結論を中心に要約すること。 - 各ポイントは1~2文で記述すること。 - 論文の背景や目的ではなく、結果とその意味に焦点を当てること。 - 箇条書きの形式で出力すること。 ### 出力形式 - 5つのポイントからなる箇条書きリスト
- 解説: 役割(リサーチアシスタント)と対象テキスト(コンテキスト)を提供 。要約の焦点(主要な発見、結論、意義)、ポイント数(5つ)、表現(簡潔、専門用語最小限)、形式(箇条書き)を具体的に指示 。これにより、長文の内容を短時間で把握するための効率的な要約が得られます。
例7:会議議事録からのアクションアイテム抽出
- シナリオ: 会議の議事録から、誰が何をする必要があるのか(アクションアイテム)とその期限を正確にリストアップしたい。
- プロンプト:
あなたは効率的なプロジェクトマネージャーです。 以下の会議議事録から、決定されたすべてのアクションアイテムを抽出してください。各アクションアイテムについて、担当者名、具体的なタスク内容、および期限を明記してください。 ### 会議議事録 [ここに会議議事録のテキストを貼り付け] ### 指示 - アクションアイテムのみを抽出すること(議論の内容や意見は含めない)。 - 担当者名、タスク内容、期限が明確にわかるように記述すること。 - 期限が明記されていない場合は、「期限未定」と記載すること。 - 抽出したアクションアイテムを表形式で整理すること。 ### 出力形式 - 以下の列を持つMarkdown形式の表: - 担当者 - タスク内容 - 期限
- 解説: 役割(プロジェクトマネージャー)を設定 。入力データ(議事録)を提供 。抽出対象(アクションアイテム)、含めるべき情報(担当者、タスク、期限)、不明な場合の対処法、出力形式(表形式)を明確に指示 。これにより、議事録から必要な情報を構造化して効率的に抽出できます。
例8:財務レポートからの特定数値抽出
- シナリオ: 企業の四半期決算レポートから、売上高、営業利益、純利益の具体的な数値を素早く見つけ出したい。
- プロンプト:
あなたは財務アナリストです。 以下の決算レポートテキストから、当四半期の「売上高」、「営業利益」、「純利益」の具体的な数値を抽出してください。数値の単位(例:百万円、億円)も併記してください。 ### 決算レポートテキスト [ここに決算レポートのテキストを貼り付け] ### 指示 - 指定された3つの財務指標(売上高、営業利益、純利益)の数値のみを抽出すること。 - 前年同期比などの他の数値は含めないこと。 - 数値が見つからない場合は、「該当なし」と記載すること。 - 結果を以下の形式でリストアップすること。 ### 出力形式 - 売上高: [抽出した数値] ([単位]) - 営業利益: [抽出した数値] ([単位]) - 純利益: [抽出した数値] ([単位])
- 解説: 役割(財務アナリスト)と入力データ(レポートテキスト)を指定 。抽出対象の指標(売上高、営業利益、純利益)を明確にし、単位の併記を要求 。不要な情報(前年同期比など)を除外し、見つからない場合の処理も指示。出力形式を厳密に指定することで 、必要な財務データを正確かつ迅速に取得できます。
例9:顧客フィードバックの主要テーマ特定
- シナリオ: 多数の顧客レビュー(自由記述)から、製品やサービスに関する主な意見や要望の傾向を把握したい。
- プロンプト:
あなたはデータアナリストです。 以下の顧客レビューのリストを分析し、繰り返し言及されている主要なテーマ(ポジティブな点、ネガティブな点、要望など)を5つ特定してください。各テーマについて、簡単な説明と、関連するレビューの例を1つ引用してください。 ### 顧客レビューリスト - [レビュー1] - [レビュー2] - [レビュー3]
… (多数のレビューをリスト形式で貼り付け)
### 指示
- レビュー全体を網羅的に分析すること。
- 最も頻繁に現れる、あるいは重要と思われるテーマを5つに絞ること。
- 各テーマは簡潔な見出しで表現すること(例:「使いやすさへの高評価」「サポート対応への不満」「新機能〇〇の要望」)。
- 各テーマの説明は1~2文程度にすること。
- 各テーマに関連する具体的なレビュー文を1つ引用すること。
### 出力形式
- 以下の形式で5つのテーマをリストアップ:
**テーマ1: [テーマ見出し]**
説明: [テーマの簡単な説明]
関連レビュー例: "[引用するレビュー文]"
**テーマ2: [テーマ見出し]**
... (同様に繰り返す)
```
- 解説: 役割(データアナリスト)と分析対象(レビューリスト)を指定 。分析の目的(主要テーマの特定)、テーマ数(5つ)、各テーマに含める情報(見出し、説明、引用例)を具体的に指示 。出力形式も明確にすることで 、大量の非構造化テキストデータから洞察を得るプロセスを支援します。
翻訳・言語処理 (例 10-12)
言語間の翻訳だけでなく、文化的なニュアンスの調整(ローカライズ)や、言語表現の解説など、より高度な言語処理タスクの例です。
例10:ビジネス文書の日英翻訳(フォーマル)
- シナリオ: 日本語で作成した取引先への提案書を、フォーマルなビジネス英語に翻訳したい。
- プロンプト:
あなたは経験豊富な日英ビジネス翻訳者です。 以下の日本語のビジネス提案書を、正確かつ自然で、フォーマルなトーンの英語に翻訳してください。業界特有の専門用語は適切に訳し、文化的な誤解を招かない表現を選んでください。 ### 日本語原文 [ここに日本語の提案書テキストを貼り付け] ### 指示 - ターゲット読者は米国のビジネスパートナーであることを考慮すること。 - 直訳ではなく、意訳を適切に行い、自然な英語表現とすること。 - 敬意を払い、プロフェッショナルな印象を与えるトーンを維持すること。 - 日本語の曖昧な表現は、意図を明確にした上で翻訳すること。 ### 出力形式 - 翻訳された英語の提案書テキスト
- 解説: 役割(日英ビジネス翻訳者)と原文(コンテキスト)を提供 。翻訳の要件(正確性、自然さ、フォーマルなトーン、ターゲット読者、文化配慮)を詳細に指示 。直訳の回避や曖昧さの解消といった、高品質な翻訳のための具体的なポイントも指定しています。
例11:マーケティング文言のローカライズ(文化適応)
- シナリオ: 日本市場向けに作成した製品キャッチコピーを、アメリカ市場向けにローカライズ(文化的に適合するように修正)したい。
- プロンプト:
あなたは国際マーケティングの専門家であり、コピーライターでもあります。 以下の日本市場向けのキャッチコピーを、アメリカの文化や価値観、消費者の感性に響くようにローカライズしてください。元のコピーが持つ製品の魅力や訴求点は維持しつつ、表現を調整してください。 ### 日本市場向けキャッチコピー 「[元のキャッチコピー]」(例:「お客様の『あったらいいな』を形に。細やかな気配りの〇〇」) ### 製品情報 - 製品カテゴリ: [製品カテゴリ] - 主な特徴: [製品の特徴] - 日本での訴求点: [日本での訴求点](例:細やかさ、丁寧さ、共感) ### 指示 - アメリカ市場のターゲット顧客(例:[ターゲット顧客層])を想定すること。 - アメリカ文化でより重視される価値観(例:効率性、自己実現、革新性など)を考慮すること。 - 直訳ではなく、製品の魅力をアメリカの消費者に最も効果的に伝える表現を新たに考案すること。 - ローカライズしたキャッチコピー案を3つ提案すること。 ### 出力形式 - 3つのローカライズされたキャッチコピー案(英語)をリストで提示
- 解説: 役割(国際マーケター兼コピーライター)を設定 。元のコピーと製品情報(コンテキスト)を提供 。ローカライズの目的とターゲット市場、考慮すべき文化・価値観、維持すべき訴求点を明確化 。単なる翻訳ではなく、文化的な適合性を重視した「再創造」を要求しています。
例12:英語イディオムの意味と用法の解説
- シナリオ: 英語のイディオム “bite the bullet” の意味がよくわからない。どのような状況で使われるのか、例文と共に解説してほしい。
- プロンプト:
あなたは英語教師であり、特にイディオムや口語表現に詳しい専門家です。 英語のイディオム "bite the bullet" について、以下の点を分かりやすく解説してください。 ### 解説項目 1. イディオムの具体的な意味 2. どのような状況や文脈で使われるか 3. このイディオムを使った自然な例文を3つ 4. (もしあれば)類似の意味を持つ他の表現 ### 指示 - 解説は、英語学習者(中級レベル)が理解できるように、平易な言葉で行うこと。 - 例文は、イディオムが使われる典型的な状況を示すものとすること。 ### 出力形式 - 上記の解説項目1~4に沿って、番号付きで記述
- 解説: 役割(英語教師)と解説対象(特定のイディオム)を指定 。求める解説内容(意味、用法、例文、類語)を項目立てて具体的に指示 。対象読者(英語中級学習者)を明記し、平易な説明を要求 。これにより、特定の言語表現に関する的確で分かりやすい情報を得られます。
ブレインストーミング・アイデア生成 (例 13-17)
新しい名前、解決策、スローガン、プレゼンテーションの切り口、ディスカッションのテーマなど、創造的な発想や多様な選択肢を求める際のプロンプト例です。
例13:スタートアップのネーミング案生成
- シナリオ: 環境問題に取り組む新しいテクノロジー系スタートアップを設立する。革新的で覚えやすく、ポジティブな印象を与える会社名を複数提案してほしい。
- プロンプト:
あなたはブランディングの専門家であり、ネーミングの達人です。 以下のコンセプトを持つ新しいテクノロジースタートアップの会社名を10個提案してください。 ### 会社コンセプト - 分野: 環境技術(サステナビリティ、クリーンエネルギー、廃棄物削減など) - 特徴: 革新的なテクノロジー、地球環境への貢献、未来志向 - 与えたい印象: ポジティブ、信頼感、先進性、覚えやすい ### 指示 - 英語または英語ベースの造語が望ましい。 - 短く(2~4音節程度)、発音しやすいこと。 - ドメイン名(.com)が取得可能かどうかも考慮に入れると尚良い(必須ではない)。 - 提案する名前の簡単な由来や意味合いも付記すること。 ### 出力形式 - 10個の名前案をリスト形式で提示。各案に簡単な説明を付記。
- 解説: 役割(ブランディング専門家)を設定 。会社のコンセプト(分野、特徴、印象)という詳細なコンテキストを提供 。名前の要件(言語、長さ、発音しやすさ、ドメイン考慮、由来説明)を具体的に指示 。これにより、コンセプトに合致した多様なネーミング案を得ることができます。
例14:オフィスでのプラスチックごみ削減策ブレインストーミング
- シナリオ: オフィス内で発生するプラスチックごみを削減したい。従業員が実践しやすく、効果的なアイデアを幅広く集めたい。
- プロンプト:
あなたは環境コンサルタントであり、企業のサステナビリティ推進の専門家です。 オフィス内でプラスチックごみを削減するための、具体的で実行可能なアイデアを15個ブレインストーミングしてください。 ### 考慮事項 - 対象: 一般的なオフィス環境 - 目的: 使い捨てプラスチックの使用量削減、リサイクルの促進 - 条件: 従業員が比較的容易に取り組めること、コストが極端に高くないこと ### 指示 - 個人レベルでできること(例:マイボトル持参)と、会社全体で導入できること(例:給水機の設置)の両方を含むこと。 - 既存の代替品(紙、ガラス、金属など)の活用アイデアも含むこと。 - アイデアは短く具体的なアクションとして記述すること。 ### 出力形式 - 15個のアイデアを箇条書きリストで提示
- 解説: 役割(環境コンサルタント)と目的(プラごみ削減)、考慮事項(対象、条件)を明確化 。アイデアの種類(個人/会社レベル、代替品活用)や記述方法(具体的アクション)を指示 。これにより、多様な視点からの実用的な解決策候補を多数得ることができます。
例15:マーケティングキャンペーンのスローガン考案
- シナリオ: 健康志向の新しいオーガニックスナック菓子の発売キャンペーン用に、記憶に残りやすく、製品の魅力を伝えるスローガンを考えたい。
- プロンプト:
あなたはキャッチーなフレーズを生み出すのが得意な広告クリエーターです。 以下の新製品情報に基づき、ターゲット顧客の心をつかむようなマーケティングスローガンを10個考案してください。 ### 新製品情報 - 製品名: [製品名] - カテゴリ: オーガニックスナック菓子 - 主な特徴: 有機素材使用、無添加、低カロリー、美味しい - ターゲット顧客: 健康意識の高い20代~40代の男女 - 伝えたいメッセージ: 罪悪感なく楽しめる、健康的で美味しいおやつ ### 指示 - スローガンは短く、覚えやすいものにすること(15文字以内)。 - 製品の特徴(オーガニック、健康、美味しさ)のいずれか、または複数を反映させること。 - ポジティブで、食欲をそそるような表現を心がけること。 - いくつかの異なる切り口(例:健康面、味、手軽さ)からのアプローチを試みること。 ### 出力形式 - 10個のスローガン案をリストで提示
- 解説: 役割(広告クリエーター)と製品情報(コンテキスト)を提供 。スローガンの要件(短さ、覚えやすさ、反映すべき特徴、トーン、多様な切り口)を具体的に指示 。これにより、製品の魅力を効果的に伝えるための多様なスローガン候補が生成されます。
例16:プレゼンテーションの多様な切り口提案
- シナリオ: 「気候変動の影響と対策」というテーマで社内向けプレゼンテーションを行う予定だが、どのような切り口で話せば聴衆の関心を引けるか悩んでいる。
- プロンプト:
あなたは経験豊富なプレゼンテーションコンサルタントです。 「気候変動の影響と対策」というテーマで、社内の一般従業員(専門家ではない)を対象とした30分間のプレゼンテーションを行う場合、聴衆の関心を引きつけ、内容の重要性を効果的に伝えるための、異なる5つの切り口(アプローチやストーリー構成)を提案してください。 ### プレゼンテーション情報 - テーマ: 気候変動の影響と対策 - ターゲットオーディエンス: 社内の一般従業員(多様な部署、専門知識は前提としない) - 時間: 30分 - 目的: 気候変動問題への意識向上、個人や会社としてできることへの関心を促す ### 指示 - 各切り口について、そのアプローチの概要と、なぜそれが効果的と考えられるかを簡単に説明すること。 - 例として、以下のような異なる視点からのアプローチを考慮してください: - 日常生活への具体的な影響から入る - 経済やビジネスへの影響に焦点を当てる - 未来の世代への影響を訴える - 成功事例や希望の持てる対策を紹介する - クイズやインタラクティブな要素を取り入れる - 提案する切り口は、互いに異なる視点や構成を持つものとすること。 ### 出力形式 - 5つの切り口提案を、それぞれ概要と効果の説明と共にリストアップ
- 解説: 役割(プレゼンコンサルタント)とプレゼン情報(テーマ、対象、時間、目的)を設定 。求めるもの(異なる5つの切り口)と、各提案に含めるべき内容(概要、効果の説明)、考慮すべき視点の例を具体的に指示 。これにより、マンネリ化しがちなテーマに対して、新鮮で効果的な伝え方のヒントを得られます。
例17:読書会用のディスカッション質問作成
- シナリオ: 読書会で特定の小説を取り上げる。参加者が作品について深く考え、活発な議論ができるような質問を用意したい。
- プロンプト:
あなたは文学に造詣の深い読書会のファシリテーターです。 以下の小説について、読書会での議論を深めるための、示唆に富んだディスカッション質問を8個作成してください。 ### 対象小説 - タイトル: [小説のタイトル] - 著者: [著者名] - 簡単なあらすじ/テーマ: [小説の簡単な概要や主要テーマ] ### 指示 - 質問は、単なる内容確認(「はい/いいえ」で答えられるもの)ではなく、参加者の解釈、意見、感情を引き出すようなオープンエンドな形式とすること。 - 作品のテーマ、登場人物の動機や変化、象徴的な要素、結末の解釈、現代社会との関連性など、多様な角度からの質問を含むこと。 - 参加者が自身の経験や価値観と照らし合わせて考えられるような質問も加えること。 - ネタバレに配慮しつつ、物語の核心に触れる問いも含むこと。 ### 出力形式 - 8個のディスカッション質問を番号付きリストで提示
- 解説: 役割(読書会ファシリテーター)と対象作品(コンテキスト)を指定 。質問の目的(議論を深める)、数(8個)、種類(オープンエンド、多様な角度、自己内省を促す)、注意点(ネタバレ配慮)を具体的に指示 。これにより、作品理解を深め、参加者間の対話を活性化させる質の高い質問リストを作成できます。
コーディング・開発支援 (例 18-22)
コード生成、コード解説、デバッグ支援、言語変換、ドキュメント生成など、プログラミングやソフトウェア開発に関連するタスクのプロンプト例です。
例18:特定のデータ処理を行うPythonコード生成
- シナリオ: CSVファイルから特定の列を読み込み、その平均値を計算する簡単なPythonスクリプトを作成したい。
- プロンプト:
あなたは経験豊富なPythonプログラマーです。 以下の仕様を満たすPythonコードを生成してください。 ### 仕様 - 入力: 'data.csv' という名前のCSVファイル。1行目はヘッダーとする。 - 処理: 1. 'data.csv' ファイルを読み込む。 2. 'Value' という名前の列(数値データ)の値を取得する。 3. 'Value' 列の数値の平均値を計算する。 4. 計算した平均値を出力(print)する。 - 使用ライブラリ: pandasを使用すること。 - エラーハンドリング: ファイルが存在しない場合や、'Value' 列が存在しない場合に適切なエラーメッセージを出力すること。 ### 指示 - コードには、処理内容を理解するための簡単なコメントを付けること。 - 例外処理(try-except)を適切に実装すること。 ### 出力形式 - Pythonコードブロック
- 解説: 役割(Pythonプログラマー)を設定 。入力、処理内容、使用ライブラリ、エラーハンドリングといった詳細な仕様(コンテキストと指示)を提供 。コメント付与や例外処理の実装といったコーディング作法も要求 。出力形式(コードブロック)を指定 。これにより、要求仕様を満たし、可読性と堅牢性も考慮されたコードを生成できます 。
例19:正規表現の解説
- シナリオ: コードレビューで見かけた複雑な正規表現
^(\d{3})-(\d{4})$
が何にマッチするのか、具体例を交えて分かりやすく説明してほしい。 - プロンプト:
あなたは正規表現の専門家です。 以下の正規表現パターンが、どのような文字列にマッチするのかを、初心者にも理解できるように具体例を挙げて説明してください。 ### 正規表現パターン `^(\d{3})-(\d{4})$` ### 指示 - パターン内の各構成要素(例: `^`, `\d{3}`, `-`, `()`, `$`)が何を意味するのかを解説すること。 - この正規表現全体が、どのような形式の文字列にマッチするのかを説明すること(例:「XXX-XXXX」形式の郵便番号など)。 - マッチする文字列の具体例を3つ提示すること。 - マッチしない文字列の具体例を2つ提示し、なぜマッチしないのかを説明すること。 ### 出力形式 - 解説文と具体例を整理して記述
- 解説: 役割(正規表現専門家)と解説対象(特定の正規表現)を指定 。求める解説内容(構成要素、全体のマッチ形式、マッチ/非マッチ例とその理由)を具体的に指示 。対象読者(初心者)を意識した分かりやすい説明を要求 。これにより、難解な正規表現の意図と動作を正確に理解できます。
例20:コードのデバッグ支援
- シナリオ: 作成したPythonの関数が期待通りに動作せず、エラーが発生する。どこに問題があるのか特定し、修正案を提示してほしい。
- プロンプト:
あなたは熟練のソフトウェアデバッガーです。 以下のPythonコードに含まれるバグを特定し、その原因を説明した上で、修正後のコードを提案してください。 ### 問題のあるコード ```python def calculate_average(numbers): # 数値リストの平均を計算する関数 total = 0 for number in numbers: total += number # バグの可能性: リストが空の場合、ゼロ除算エラーが発生する return total / len(numbers) my_list = # 空のリストで関数を呼び出すとエラーになる average = calculate_average(my_list) print(f"The average is: {average}")
期待される動作- 空のリストが渡された場合は、エラーを発生させずに 0 または None を返すか、適切なエラーメッセージを表示する。
- コード中のどの行に問題があるかを指摘すること。
- なぜそのコードがバグを引き起こすのか、原因を簡潔に説明すること。
- バグを修正した完全なコードを提示すること。
- 修正方法が複数考えられる場合は、それぞれの方法を提示しても良い。
- バグの箇所と原因の説明
- 解説: 役割(デバッガー)と問題のコード(コンテキスト)を提供 。期待される動作を明記し、求める情報(バグ箇所、原因、修正コード)を具体的に指示 。これにより、コードの問題点を効率的に特定し、解決策を得ることができます。
例21:コードの言語変換 (JavaScript to Python)
- シナリオ: JavaScriptで書かれた簡単な関数を、同等の機能を持つPythonの関数に書き換えたい。
- プロンプト:
あなたはJavaScriptとPythonの両方に精通したプログラマーです。 以下のJavaScriptの関数を、同じロジックと機能を持つPythonの関数に書き換えてください。 ### JavaScriptコード ```javascript function sumArray(arr) { let sum = 0; for (let i = 0; i < arr.length; i++) { sum += arr[i]; } return sum; }
指示- Pythonの慣習に従った、簡潔で読みやすいコード(Pythonicなコード)にすること。
- 元のJavaScriptコードの機能(数値配列の合計を計算する)を完全に再現すること。
- 必要であれば、Pythonの組み込み関数や標準的なライブラリを活用すること。
- Pythonコードブロック
- 解説: 役割(多言語プログラマー)と変換元のコード(コンテキスト)を指定 。変換先の言語(Python)と、変換後のコードに求める品質(Pythonic、機能同等性)を指示 。これにより、異なるプログラミング言語間のコード移植作業を効率化できます。
例22:関数ドキュメント(Docstring)の自動生成
- シナリオ: 作成したPython関数のドキュメント(docstring)を、標準的な形式で自動生成したい。
- プロンプト:
あなたはPythonのコーディング規約(特にドキュメンテーション)に詳しい開発者です。 以下のPython関数について、Google Python Style Guide に準拠した形式で、適切なdocstringを生成してください。 ### 対象となるPython関数 ```python def get_user_info(user_id: int, include_details: bool = False) -> dict: # (関数の内部実装は省略) #... database lookup logic... if user_id == 1: info = {"user_id": 1, "name": "Alice"} if include_details: info["email"] = "alice@example.com" return info else: return {}
指示- docstringには、関数の目的を簡潔に説明する要約行を含めること。
Args:
セクションで、各引数(user_id
,include_details
)の名前、型、説明を記述すること。デフォルト値を持つ引数についても言及すること。Returns:
セクションで、戻り値の型と、どのような情報が含まれるかを説明すること。- (もしあれば)関数が送出する可能性のある例外についても
Raises:
セクションで記述すること(この例では不要)。
- 生成されたdocstringを含む、完全なPython関数コード(コードブロック)
- 解説: 役割(Python開発者)と対象関数(コンテキスト)を指定 。生成するdocstringの形式(Google Style Guide)と、含めるべきセクション(要約、Args、Returns)を具体的に指示 。これにより、関数の仕様を明確に伝え、コードの保守性を高めるためのドキュメント作成を自動化できます。
分析・評価 (例 23-26)
テキストデータの感情分析、製品比較、バイアス検出、データからの洞察抽出など、情報やデータを分析・評価するタスクのプロンプト例です。
例23:顧客レビューの感情分析
- シナリオ: ECサイトに投稿された複数の製品レビューが、それぞれポジティブ、ネガティブ、ニュートラルのいずれであるかを判定したい。
- プロンプト:
あなたは感情分析のエキスパートです。 以下の各顧客レビューについて、その全体的な感情が「ポジティブ」、「ネガティブ」、「ニュートラル」のいずれであるかを分類してください。 ### 顧客レビューリスト 1. 「期待以上の品質でした!配送も早くて満足です。」 2. 「デザインは良いのですが、少し使いにくい部分があります。」 3. 「すぐに壊れてしまい、がっかりしました。おすすめしません。」 4. 「価格相応の商品だと思います。可もなく不可もなく。」 5. 「サポートの対応が素晴らしく、問題がすぐに解決しました!」 ### 指示 - 各レビューに対して、最も適切と思われる感情ラベル(ポジティブ、ネガティブ、ニュートラル)を1つだけ割り当てること。 - 分類結果をレビュー番号と共にリスト形式で示すこと。 ### 出力形式 - 1: [感情ラベル] - 2: [感情ラベル] - 3: [感情ラベル] - 4: [感情ラベル] - 5: [感情ラベル]
- 解説: 役割(感情分析エキスパート)と分析対象(レビューリスト)を指定 。行うべきタスク(感情分類)と分類カテゴリ(ポジティブ、ネガティブ、ニュートラル)を明確に指示 。出力形式を指定することで 、テキストデータに含まれる主観的な意見を構造化して把握できます。
例24:製品比較(長所・短所)
- シナリオ: 2つの競合するソフトウェア製品(AとB)のどちらを導入すべきか検討している。提供された機能リストに基づき、それぞれの長所と短所を比較検討してほしい。
- プロンプト:
あなたは客観的な視点を持つ製品アナリストです。 以下の2つのソフトウェア製品(製品A、製品B)に関する情報に基づき、それぞれの長所(Pros)と短所(Cons)を比較分析してください。 ### 製品Aの情報 - 機能リスト: [製品Aの機能リスト] - 価格: [製品Aの価格情報] - サポート体制: [製品Aのサポート情報] - ユーザーレビュー概要: [製品Aのレビュー概要] ### 製品Bの情報 - 機能リスト: - 価格: - サポート体制: - ユーザーレビュー概要: ### 指示 - 製品Aと製品Bそれぞれについて、長所と短所を3つずつ挙げてください。 - 比較は、機能、価格、サポート、ユーザー評価などの観点から行うこと。 - 分析は客観的な事実にできるだけ基づき、公平な視点を保つこと。 ### 出力形式 - **製品A** - 長所: 1. [長所1] 2. [長所2] 3. [長所3] - 短所: 1. [短所1] 2. [短所2] 3. [短所3] - **製品B** - 長所: 1. [長所1] ... (同様に) - 短所: 1. [短所1] ... (同様に)
- 解説: 役割(製品アナリスト)と分析対象の情報(コンテキスト)を提供 。比較の観点、挙げるべき長所・短所の数、客観性の維持といった指示を与え 。出力形式を明確にすることで 、製品選択の意思決定に役立つ比較情報を整理された形で得られます。
例25:ニュース記事における潜在的バイアスの指摘
- シナリオ: あるニュース記事を読んだが、内容が一方的な視点に偏っているように感じる。記事に含まれる可能性のあるバイアス(偏向)を客観的に指摘してほしい。
- プロンプト:
あなたはメディアリテラシーの専門家であり、客観的な分析を得意とします。 以下のニュース記事を読み、潜在的なバイアス(例:特定の立場への偏り、感情的な言葉の使用、情報の選択的提示、根拠の欠如など)が含まれている可能性のある箇所を指摘し、その理由を簡潔に説明してください。 ### 対象ニュース記事 [ここにニュース記事のテキストを貼り付け] ### 指示 - 記事全体を批判的に読み解くこと。 - バイアスが疑われる具体的な記述や表現を引用し、なぜそれがバイアスと考えられるのかを説明すること。 - 指摘は客観的な根拠に基づいて行い、個人的な意見や憶測は避けること。 - バイアスがないと判断される場合でも、そのように記述すること。 - 最大3つの潜在的なバイアスについて指摘すること。 ### 出力形式 - 潜在的なバイアスの指摘(最大3つ)を、それぞれ以下の形式で記述: - **指摘箇所(引用):** "[記事中の該当箇所]" - **バイアスの種類(可能性):** [例:感情的な言葉遣い、一方的な情報源] - **理由:** [なぜバイアスと考えられるかの説明]
- 解説: 役割(メディアリテラシー専門家)と分析対象(記事テキスト)を指定 。分析の観点(潜在的バイアス)、指摘すべき内容(箇所、理由)、客観性の維持、指摘数の上限を指示 。これにより、情報の受け手が批判的思考を深め、メディアの内容をより注意深く評価するための支援を提供します。
例26:市場トレンドデータの分析と要約
- シナリオ: 提供された市場調査データ(テキスト形式)から、主要なトレンドや重要な洞察を抽出し、経営層向けの簡潔なレポートを作成したい。
- プロンプト:
あなたは市場分析の専門家です。 以下の市場調査データ(テキスト形式)を分析し、経営判断に役立つと思われる主要なトレンドや重要な洞察を3つ特定し、それぞれを簡潔に要約してください。 ### 市場調査データ [ここに市場調査データのテキストを貼り付け] (例:業界レポートの抜粋、消費者アンケート結果の概要など) ### 指示 - データ全体から、最も重要と思われるトレンドやパターン、注目すべき変化を特定すること。 - 各トレンド/洞察について、それが何を意味するのか、そしてビジネスにとってどのような示唆を持つのかを説明すること。 - 説明は専門用語を避け、経営層が理解しやすい言葉で記述すること。 - 各要約は150字程度にまとめること。 ### 出力形式 - 主要なトレンド/洞察 3つを、それぞれ説明と共にリストアップ: 1. **[トレンド/洞察の見出し]** [その説明とビジネスへの示唆] 2. **[トレンド/洞察の見出し]** [その説明とビジネスへの示唆] 3. **[トレンド/洞察の見出し]** [その説明とビジネスへの示唆]
- 解説: 役割(市場アナリスト)と入力データ(市場調査データ)を指定 。分析の目的(主要トレンド・洞察の特定)、数(3つ)、含めるべき内容(意味、示唆)、対象読者(経営層)、文字数を具体的に指示 。これにより、複雑なデータから戦略的な意思決定に繋がる核心的な情報を効率的に抽出・要約できます。
学習・解説 (例 27-30)
複雑な概念の解説、学習用クイズの作成、質問応答、多様な視点からの議論シミュレーションなど、知識習得や理解深化を支援するタスクのプロンプト例です。
例27:複雑な概念の比喩を用いた解説
- シナリオ: 「ブロックチェーン技術」について、ITに詳しくない友人に説明したい。専門用語を使わず、分かりやすい比喩を使って説明してほしい。
- プロンプト:
あなたは複雑な技術コンセプトを、初心者にも理解できるように説明するのが得意な教育者です。 「ブロックチェーン技術」の基本的な仕組みと特徴(例:分散型台帳、改ざん困難性、透明性)について、専門用語を一切使わずに、身近な物事を使った分かりやすい比喩を用いて説明してください。説明は300字程度でお願いします。 ### 指示 - ターゲットは技術的な背景知識が全くない一般の人とする。 - 比喩は、説明したい技術的特徴(分散、改ざん困難、透明性)を的確に表すものを選ぶこと。(例:「みんなで共有するデジタルなノート」など) - なぜブロックチェーンが注目されているのか、その利点にも軽く触れること。 ### 出力形式 - ブロックチェーン技術に関する比喩を用いた解説文
- 解説: 役割(教育者)と解説対象(ブロックチェーン)、ターゲット(初心者)を指定 。説明の要件(専門用語不使用、比喩の使用、含めるべき特徴、文字数)を具体的に指示 。これにより、難解な概念を直感的かつ容易に理解できるような説明文を得られます。
例28:テキストに基づいたクイズ作成
- シナリオ: 提供されたテキスト教材の内容を、学習者が正しく理解しているか確認するための簡単な多肢選択式クイズを作成したい。
- プロンプト:
あなたは教育コンテンツ開発者です。 以下のテキスト内容に基づいて、学習者の理解度を確認するための多肢選択式クイズを5問作成してください。 ### 教材テキスト [ここにクイズの元となるテキストを貼り付け] ### 指示 - 各問題には、4つの選択肢(1つの正解と3つの不正解)を用意すること。 - 質問は、テキスト中の重要な概念や事実に関するものとすること。 - 不正解の選択肢(ダミー)は、もっともらしいが誤っているものにすること。 - 各問題の後に、正解の選択肢を明記すること。 ### 出力形式 - 以下の形式でクイズ5問を作成: **問1:** [質問文] (A) [選択肢A] (B) (C) [選択肢C] (D) [選択肢D] **正解:** [正解の記号] **問2:**... (同様に繰り返す)
- 解説: 役割(教育コンテンツ開発者)と教材テキスト(コンテキスト)を指定 。作成するクイズの形式(多肢選択式)、問題数(5問)、選択肢の数(4つ)、質問内容の要件、不正解選択肢の質、正解の明記を具体的に指示 。これにより、学習効果測定に利用できる適切なクイズを効率的に生成できます。
例29:歴史的事実に関する質問応答(注意喚起付き)
- シナリオ: 第二次世界大戦が終結した具体的な経緯について、主要な出来事を時系列で説明してほしい。
- プロンプト:
あなたは歴史の専門家です。 第二次世界大戦が終結した具体的な経緯について、主要な出来事を時系列に沿って、簡潔に説明してください。特にヨーロッパ戦線と太平洋戦線の終結について触れてください。 ### 指示 - 重要な出来事(例:ドイツ降伏、ポツダム宣言、原爆投下、日本の降伏)を含めること。 - 説明は客観的な事実に基づいて行うこと。 - 500字程度でまとめること。 - **注意:** 生成AIは時に不正確な情報を生成する可能性があります。回答内容は必ず信頼できる情報源で再確認してください。 ### 出力形式 - 時系列に沿った説明文
- 解説: 役割(歴史専門家)と質問内容(第二次大戦終結の経緯)を指定 。含めるべき要素(主要出来事、両戦線)、記述スタイル(客観的事実、時系列)、文字数を指示 。重要な点として、AIの回答は必ずしも正確ではない可能性があるため、ファクトチェックの必要性を明記しています 。
例30:対立する意見のディベートシミュレーション
- シナリオ: ある社会的なテーマ(例:ベーシックインカム導入の是非)について、賛成派と反対派の主な論点を理解したい。両者の立場から議論をシミュレートしてほしい。
- プロンプト:
あなたは公平なモデレーターであり、異なる視点を理解しています。 「日本におけるベーシックインカム導入の是非」というテーマについて、賛成派と反対派の立場から、それぞれの主要な主張と根拠を提示する形で、模擬ディベートを行ってください。 ### 指示 - まず賛成派の主な主張と根拠を3点挙げる。 - 次に反対派の主な主張と根拠を3点挙げる。 - 各主張は、経済的側面、社会的側面、倫理的側面など、異なる観点から論じること。 - 各派の主張は、客観的かつ論理的に記述すること。感情的な攻撃は避けること。 - 最後に、このテーマに関する主要な論点を簡潔にまとめること。 ### 出力形式 - 以下の構成で記述: **テーマ:** 日本におけるベーシックインカム導入の是非 **賛成派の主張:** 1. [主張1とその根拠] 2. [主張2とその根拠] 3. [主張3とその根拠] **反対派の主張:** 1. [主張1とその根拠] 2. [主張2とその根拠] 3. [主張3とその根拠] **主要な論点のまとめ:** [まとめ]
- 解説: 役割(モデレーター)とテーマを指定 。シミュレーションの形式(賛成/反対の主張提示)、論点の数(各3点)、考慮すべき観点、記述スタイル(客観的、論理的)、最終的なまとめ要求を具体的に指示 。これにより、複雑な問題に対する多角的な視点と主要な論争点を整理して理解することができます。
プロンプトの構造や使用されるテクニックは、達成したいタスクの種類によって大きく異なります。例えば、要約プロンプト(例6)は情報の凝縮とキーポイントの識別に重点を置き、しばしば長さや形式の制約を指定します 。一方、コード生成プロンプト(例18)は、プログラミング言語の指定、正確なロジック、入出力の定義など、技術的な精度を要求します 。クリエイティブな執筆プロンプト(例5)は、より喚起的で自由度の高い言語を使用し、トーンやスタイルを指定することがありますが、形式の制約は緩い場合があります 。このことは、単一の「完璧なプロンプト」テンプレートは存在せず、効果的なプロンプティングとは、特定の目標と領域に合わせてアプローチ(テクニック、詳細度、構造)を調整するスキルであることを示唆しています。
ベストプラクティスと留意事項
生成AIを効果的かつ責任を持って活用するためには、プロンプト作成におけるベストプラクティスを理解し、AI固有の限界や倫理的な側面にも注意を払う必要があります。
よくある落とし穴とその回避策
- 曖昧さ: 前述の通り、曖昧な指示は意図しない、あるいは役に立たない出力を招きます 。プロンプトを作成したら、第三者の視点で読み返し、解釈の余地がないか、より具体的に表現できないかを確認することが重要です。
- 過度な複雑性: 一つのプロンプトに多くの異なるタスクや複雑な条件を詰め込みすぎると、AIが混乱し、いずれの要求も十分に満たせない結果になりがちです 。複雑な要求は、タスク分解のテクニックを用いて、より管理しやすい小さなステップに分割することを検討します 。
- 暗黙の前提: ユーザーが当然と考えている背景知識や文脈を、AIも共有していると仮定してはいけません 。必要な情報は、プロンプト内で明示的に提供する必要があります。
AIの限界への対処:ハルシネーション、バイアス、ファクトチェック
生成AIは強力なツールですが、万能ではなく、固有の限界も抱えています。
- ハルシネーション(事実に基づかない情報の生成): 大規模言語モデルは、学習データに基づいて最もそれらしい応答を生成しようとしますが、その過程で事実と異なる情報や、存在しない事柄をもっともらしく生成してしまうことがあります 。特に、専門的な知識、最新情報、固有名詞などに関する応答には注意が必要です。AIが生成した事実情報、データ、引用などは、必ず信頼できる情報源で検証(ファクトチェック)する習慣をつけましょう 。AIは真実のデータベースではなく、あくまでパターン生成器であることを認識しておく必要があります 。
- バイアス: AIモデルは、学習に使用された膨大なデータセットに含まれる社会的な偏見やステレオタイプを反映してしまう可能性があります 。そのため、AIの出力には、意図せず偏った視点や差別的な表現が含まれるリスクがあります。生成された内容、特に人物描写や社会的なトピックに関するものは、批判的な視点で評価し、潜在的なバイアスに注意を払う必要があります。
- 知識のカットオフ: 多くのAIモデルは、特定の時点までのデータで学習されており、それ以降の最新情報や出来事については知識がない場合があります(モデルのドキュメントに通常記載されています)。リアルタイムの情報が必要な場合は、Web検索機能などを備えたモデルを利用するか、別途確認が必要です 。
倫理的な利用:プライバシー、機密保持、責任あるAIとの対話
生成AIの利用にあたっては、倫理的な配慮が不可欠です。
- 機密情報: 個人情報、企業の機密データ、顧客情報など、機密性の高い情報を、特にパブリックなAIサービスやセキュリティが確保されていない環境に入力することは絶対に避けるべきです 。入力されたデータが学習に利用されたり、意図せず漏洩したりするリスクがあります。機密情報を扱う場合は、データプライバシーが保証されたエンタープライズ向けのAIソリューションや、オンプレミス環境での利用を検討する必要があります 。
- 著作権: AIが生成したコンテンツの著作権については、法的な議論が進行中です。AIの学習データに著作権物が含まれている可能性があり、生成されたコンテンツの利用が意図せず著作権侵害にあたるリスクもゼロではありません 。利用するAIツールの利用規約を確認し、特に商用利用の場合は関連法規に注意が必要です。
- 真正性: 学術論文、報道記事、公的な文書など、オリジナリティや人間の authorship が重要視される文脈でAIが生成したコンテンツを多用する場合は、その旨を適切に開示することが、透明性と信頼性の観点から推奨されます。
- 敵対的プロンプティング: プロンプトインジェクション(悪意ある指示の注入)やジェイルブレイク(倫理的制約の回避)といった、AIを悪用しようとする試みも存在します 。一般的な利用においては、このような攻撃を仕掛けることは避けるべきですが、AIシステムのセキュリティ上の課題として認識しておくことは有益です。
反復と評価の必要性
効果的なプロンプトエンジニアリングは、一度で完結するものではなく、継続的なプロセスです。
- 反復の重要性: 最初に試したプロンプトが期待通りの結果をもたらさなくても、落胆する必要はありません。AIの応答を注意深く評価し、何が問題だったのか(指示が不明確だったか、文脈が不足していたか、例が悪かったかなど)を分析し、プロンプトを修正して再試行するというサイクルが、成功への鍵となります 。
- 体系的なテスト: プロンプトのどの部分がどのように出力に影響するかを理解するために、変更箇所を一つずつ試すなど、体系的にテストを行うことが有効です 。事前に「どのような出力が得られれば成功か」という基準を明確にしておくことも、評価プロセスを助けます 。
プロンプトエンジニアリングのスキルを習得することは、単にAIに命令を与える方法を学ぶこと以上の意味を持ちます。それは、AIという強力なツールとの対話を通じて、より洗練された共同作業を行う能力を開発することに繋がります。基本的なプロンプトでは、しばしば一般的で満足のいかない結果しか得られません 。しかし、役割設定、文脈提供、例示、反復的改善といったテクニックを駆使するには、ユーザー側のより深い関与が求められます。この関与には、AIの長所と短所(ハルシネーションのリスク など)を理解し、潜在的な問題を予測し、その生成プロセスを戦略的に導くことが含まれます。タスク分解 のようなテクニックを効果的に活用することは、人間が批判的思考、目標設定、評価を提供し、AIが計算能力とパターン生成を提供するという、パートナーシップを示しています。したがって、プロンプトエンジニアリングは、強力でありながらも非人間的な知性と効果的に協働し、その有用性を最大化しつつリスクを軽減するためのスキルセットであり、ユーザーを受動的な消費者からAI出力の能動的なディレクターへと昇華させるものです。
以上、生成AIへの効果的なプロンプトを作成するための基本原則と具体的なテクニックの解説と実践的なプロンプト例30選でした。