Agent Development Kit(ADK)は、Googleが開発したAIエージェントを作るための開発キットです。「Vertex AI Agent Builder」とも呼ばれています。
生成AI(ChatGPTなど)を使ったアプリが増えていますが、ADKはそうした高度なAIアシスタントをより簡単に、効率よく作れるようにするための開発キットです。
この記事では、Agent Development Kit(ADK)の使い方や活用イメージを解説します。
そもそも、AIエージェントとは
AIエージェントとは、人と自然な会話をしたり、タスクを自動でこなしたりする「賢いデジタルアシスタント」のことです。
たとえばチャットボットや、カレンダーを自動で調整してくれるアシスタント、メールを整理するAIなどがこれに当たります。
今後、多くの業務がAIエージェントに置き換わっていく可能性があります。ADKを理解することで、AIを使いこなす側に回れるチャンスが広がります。
AIエージェントに関する詳しい説明は以下をご覧ください。
Agent Development Kit (Vertex AI Agent Builder)とは
ADKは簡単に言うと、「生成AIを使った対話型のAIアプリケーション(AIエージェント)を、比較的簡単に開発・導入するためのツールキット(道具箱)」です。
ChatGPTやGoogle Geminiのような生成AIは質問に答えたり、文章を作ったりしてくれます。
Vertex AI Agent Builderを使うと、これらと同じような賢いAIを、特定の目的(例えば、社内の問い合わせ対応、お客様からの質問応答など)に合わせてカスタマイズして作れるようになります。
ポイントは、「ノーコード」または「ローコード」で開発できる点です。
- ノーコード: プログラミングのコードを一切書かずに、画面上の操作(クリックやドラッグ&ドロップなど)だけでAIエージェントを作れます。
- ローコード: 少しだけコードを書くことで、より複雑な機能や細かいカスタマイズも可能になりますが、基本的な機能はコードなしで作れます。
Agent Development Kit (Vertex AI Agent Builder)の活用イメージ
このツールを使うと、色々なAIエージェントを作ることが出来ます。いくつか具体例を挙げてみましょう。
- 賢いFAQチャットボットの作成
- 会社のウェブサイトや社内ポータルに、お客様や社員からのよくある質問に24時間365日自動で答えてくれるAIを設置できます。
- 単に決まった答えを返すだけでなく、関連する情報(例えば、マニュアルの該当ページや担当部署の連絡先など)も一緒に提示してくれます。
- 最新の製品情報や社内規定などを覚えさせておけば、常に新しい情報に基づいた回答が可能です。
- 社内ヘルプデスクの自動化
- 「パソコンの調子が悪い」「経費精算の方法がわからない」といった社内からの問い合わせに、AIが一次対応してくれます。
- 簡単な質問ならAIが解決し、複雑な問題の場合は適切な担当者や部署へスムーズに引き継いでくれます。これにより、情報システム部や総務部の負担を減らせます。
- 業務プロセスの自動化アシスタント
- 例えば、「〇〇社に関する最新のニュースをまとめて、要点を3つ教えて」と指示すると、AIがインターネット上から関連ニュースを探し出し、要約して報告してくれます。
- 「来週の〇〇さんとの会議をスケジュールして」と頼むと、関係者のカレンダーを確認し、空いている時間を見つけて会議設定を行ってくれる、といった秘書のような役割も可能です。(Google Workspaceなどのツール連携が必要)
- 特定の情報検索やデータ収集
- 膨大な社内文書やデータベースの中から、必要な情報をピンポイントで見つけ出してくれます。「去年の〇〇プロジェクトの最終報告書を見せて」といった自然な言葉での指示でOKです。
- 特定の業界の動向や競合他社の情報を定期的に収集し、レポートとしてまとめてもらうこともできます。
- お客様対応の強化
- お客様からの問い合わせに対して、過去のやり取り履歴や購入履歴などを踏まえた、よりパーソナルな対応をAIが支援します。
- 注文受付や予約処理などをAIが自動で行うことで、お客様を待たせる時間を短縮できます。
Googleの基盤の上で動くことのメリット
- Googleの最新AIモデル(Geminiなど)を活用: 自然な会話能力、高い理解力、要約力などを備えたAIを作れます。
- 自社のデータでカスタマイズ: マニュアル、ウェブサイト、データベースなど、自社が持っている情報をAIに学習させる(これを「グラウンディング」と言います)ことで、より専門的で正確な応答が可能になります。
- 外部ツールとの連携: Google Workspace(Gmail, Calendar, Driveなど)はもちろん、様々な業務システム(CRM、ERPなど)と連携させることで、AIができることの幅が大きく広がります。例えば、AIが問い合わせ内容に応じて、自動でメールを作成したり、顧客情報を更新したりできます。
- 安全性と管理: Google Cloudの堅牢なセキュリティ基盤上で動作し、誰がどのようにAIを利用しているかを管理・監視する機能も備わっています。
「AIエージェント」と従来のチャットボットの違い
従来のチャットボットは、あらかじめ設定されたシナリオやキーワードに基づいて応答することが多いのに対し、Vertex AI Agent Builderで作る「AIエージェント」は、もっと自律的・能動的に動けるのが特徴です。
- 文脈理解: 会話の流れやユーザーの意図を深く理解します。
- 推論能力: 与えられた情報から、次に何をすべきかを自分で考えて判断します。
- ツール利用: 必要に応じて、他のツール(カレンダー、メール、データベース検索など)を自分で呼び出して利用し、タスクを実行します。
- 複数ステップのタスク実行: 単純な応答だけでなく、「〇〇の資料を探して、要約し、関係者にメールで送る」といった複数のステップからなる複雑な指示もこなせます。
Agent Development Kit (Vertex AI Agent Builder)に触れておくメリット
このVertex AI Agent Builderのようなツールに触れておくことには、大きなメリットがあります。
- 業務効率化のアイデアを形にできる: 日々の業務の中で「もっとこうなれば楽なのに…」と感じることを、AIを使って自分で解決できるかもしれません。
- AIリテラシーの向上: これからの時代に必須となるAIに関する知識やスキルを、実践的に身につけることができます。
- 新しい働き方の体験: AIと協力して仕事を進めるという、未来の働き方を先取りできます。
- キャリアの可能性: AIを活用できる人材は、今後ますます価値が高まります。若いうちからAIツールに慣れ親しんでおくことは、将来のキャリアにおいて大きな強みになるでしょう。
以上、Agent Development Kit(ADK)の使い方や活用イメージを解説しました。
FAQ対応から業務自動化、情報検索まで、様々なシーンで活躍し、私たちの働き方を大きく変える可能性を秘めています。
皆さんも、ぜひこの新しい技術に興味を持ち、触れる機会があれば積極的に試してみてください。