AIエージェントとは?生成AIとの違いや主要サービスを解説

最近よく耳にする「AIエージェント」は具体的な指示(ゴール)を与えると、その達成のために自分で計画を立て、必要な情報を集めたり、ツールを使ったり、複数のステップを実行したりできる賢いアシスタントのようなツールです。
この記事ではAIエージェントについて、生成AIとの違いや主要サービスを解説します。

AIエージェントとは

AIエージェントとは、「あなたの代わりに、ある目的を達成するために自律的に考えて行動してくれるAI」のことです。
普通のAIは情報の提供にとどまる一方で、AIエージェントは情報を探して比較検討し、実際に予約という行動までしてくれることが期待されています。

  • 普通のAI(例:ChatGPTなど)
    • あなた:「東京の美味しいラーメン屋さんを教えて」
    • AI:「〇〇や△△が人気です。食べログのリンクはこちらです…」
  • AIエージェント(将来のイメージ)
    • あなた:「来週水曜日の夜、新宿駅近くで4人で入れる個室のあるイタリアンを予約して。予算は1人5000円くらいで。」
    • AIエージェント:「承知しました。いくつか候補を探しますね… A店とB店が見つかりました。A店は雰囲気が良く、B店は口コミ評価が高いです。どちらにしますか?…(あなたが選んだ後)… では、A店に来週水曜日の19時で4名、予約を入れておきます。予約完了メールをご確認ください。」

AIエージェントと生成AIの比較表

生成AIは「作る」ことに特化する一方でAIエージェントは「行動する」ことまで動作範囲を広げた、と言えます。
AIエージェントは生成AIの能力を借りて、より能動的に私たちのタスクを手伝ってくれます。

生成AI (Generative AI)AIエージェント (AI Agent)
主な目的新しいコンテンツの生成目標達成のための自律的な行動
主要な機能作成、生成、応答計画、実行、環境操作、監視
動作プロセスプロンプト → 生成物 (単発が多い)目標 → 計画 → 実行 → 観察 → 修正… (複数ステップ)
自律性低い (指示待ち)高い (自ら考えて動く)
環境との対話限定的 (主に学習データとプロンプト)積極的 (Web、アプリ、ツール等を利用)
役割イメージクリエイター、コンテンツ作成者アシスタント、代理人、タスク実行者
主な目的ChatGPT, Stable Diffusion, MidjourneyAuto-GPT, AgentGPT, 特定タスク自動化ボット

AIエージェントと生成AIそれぞれの目的や主な機能

「生成AI」と「AIエージェント」の違いについて、目的や主な機能について詳しく解説します。

生成AI (Generative AI)

  • 目的:
    • 与えられた指示(プロンプト)に基づいて、新しいコンテンツ(文章、画像、音楽、コードなど)を生成すること。
  • 動作の仕組み:
    • 大量のデータを学習し、そのデータの中にあるパターンや関係性を理解します。
    • その学習結果をもとに、プロンプトに応じて、もっともらしい、あるいは指示に沿った新しいデータ(コンテンツ)を出力します。
  • 主な機能:
    • 文章作成、要約、翻訳
    • 画像生成、編集
    • プログラムコード生成
    • 音楽作曲
    • 質疑応答
  • 具体例:
    • ChatGPT: テキスト生成、対話
    • Stable Diffusion, Midjourney: 画像生成
    • GitHub Copilot: コード生成
  • 特徴:
    • 入力(プロンプト)に対して、1回の応答で成果物(コンテンツ)を返すことが多い。
    • 基本的には、指示された「生成タスク」を実行する。自ら複数のステップを踏んで何かを達成しようとはしない。
    • 「クリエイター」「コンテンツ作成者」のような役割。

AIエージェント (AI Agent)

  • 目的:
    • 与えられた目標(goal)を達成するために、自律的に計画を立て、行動すること。
  • 動作の仕組み:
    • 目標を受け取ると、それを達成するための計画を立てます。(例: タスクを小さなステップに分解する)
    • 計画を実行するために、ツールを使ったり、外部環境(例: ウェブサイト、アプリケーション、データベース)と対話したりします。
    • 行動の結果を観察し、計画を修正したり、次の行動を決定したりします。これを目標達成まで繰り返します。
  • 主な機能:
    • タスクの自動実行(例: メール送信、スケジュール調整、情報収集と比較、予約)
    • ワークフローの自動化
    • 複雑な問題解決の支援
    • システムの監視と自律的な対応
  • 具体例:
    • Auto-GPT, AgentGPT: 実験的ながら、与えられた目標に対し自律的にタスクを実行しようとする。
    • Webサイトの予約ボット: 特定の予約タスクを自動で実行する。
    • (将来像として)スマートホームの管理エージェント: 家の状況を監視し、自律的に照明や空調を調整する。
  • 特徴:
    • 自律性が高く、人間が細かく指示しなくても動ける。
    • 複数のステップを踏んで、目標達成まで継続的に動作する。
    • 環境との相互作用(情報収集、ツール利用、操作)が重要。
    • 「アシスタント」「代理人」「タスク実行者」のような役割。

AIエージェントと生成AIの関連性

重要な点として、多くのAIエージェントは、その「頭脳」の一部として生成AI(特に大規模言語モデル LLM)を利用しています。

  • 計画立案: 目標を理解し、達成までのステップを考えるためにLLMの推論能力を使う。
  • ツール選択: 状況に応じてどのツール(検索、計算、メール送信など)を使うべきか判断する。
  • 応答生成: ユーザーへの報告や、他のシステムへの指示を生成する。

つまり、AIエージェントは、生成AIの「コンテンツ生成能力」や「推論能力」を部品として組み込み、さらに自律的な計画実行や環境との対話能力を付加することで、単なるコンテンツ生成を超えた「目標達成のための行動」を実現しているのです。

主要なAIエージェントサービス比較

AIエージェントはまだ発展途上の技術で、「これぞ決定版!」というサービスは確立されていません(2025年4月時点)。
多くは既存のAI(LLM)をベースに、自律的にタスクを実行させる試みとして登場しています。
ここでは、代表的なサービスやコンセプトを5つ紹介します。

主な特徴・用途プラットフォーム価格帯ポイント
AgentGPTWeb上で簡単にAIエージェントにタスク(調査、計画立案など)を依頼できる。Webブラウザ無料/有料手軽にAIエージェントのコンセプトを試せる。複雑なタスクはまだ苦手な場合も。
Microsoft CopilotMicrosoft 365 (Word, Excel, Teams等) に統合され、文書作成、データ分析、会議要約などを支援。Microsoft 365内有料 (企業向け)仕事のツールと連携し、文脈を理解して具体的な作業を支援する「副操縦士」。
ChatGPT (GPTs / Actions)特定の目的を持つカスタムAIを作成可能(GPTs)。API連携(Actions)で外部サービス操作も視野に。Webブラウザ, アプリ無料/有料(Plus)多機能チャットAIがベース。GPTsで簡易エージェント作成。将来的な機能拡張に期待。
MultiOnブラウザ操作を自動化するAIエージェント。Webサイト上の予約、情報収集、フォーム入力などを代行。ブラウザ拡張機能有料 (予定含む)Web上の定型作業を「見て学習」し、自動化することを目指す。
Zapier Central様々なWebサービス同士を連携させる自動化ツールZapierのAI搭載インターフェース。自然言語で指示し自動化フローを作成。Webブラウザ無料/有料複数のアプリを跨いだワークフロー自動化を、AIとの対話で実現。

AIエージェント活用の注意点

注意点①:まだ発展途上である

AIエージェントは非常に新しい技術分野であり、まだ人間のように完璧に意図を汲んでミスなく作業できるわけではありません。誤った判断をしたり、予期せぬ動きをしたりする可能性もあります。

注意点②:セキュリティとプライバシー

自分の代わりに様々な操作を任せることになるため、どのような情報を渡し、どのような権限を与えるかには注意が必要です。 詳細は以下の記事をご覧ください。

以上、AIエージェントについて解説しました。将来的には、私たちの働き方を大きく変える可能性を秘めているので、最新情報をこまめにキャッチアップすることをお勧めします。