生成AIのここ数年(特に2022年頃から現在まで)の歴史と、その中で特に重要と考えられるサービスやモデルについて、解説します。
この期間は、生成AI技術が研究段階から急速に社会実装へと進み、私たちの働き方、創造性、情報アクセスに革命的な変化をもたらした「生成AI元年」とも呼べる時期です。
特に大規模言語モデル(LLM)と画像生成技術の進化が著しく、競争と技術革新が加速しました。
生成AIの歴史(2022年頃〜2025年初頭)
- 2022年:技術的ブレイクスルーと認知度の向上
- 高品質な画像生成AIの登場: テキスト指示から驚くほど高品質な画像を生成できる
DALL-E 2
(OpenAI)、Imagen
(Google)、そして特にオープンソース化されたStable Diffusion
(Stability AI他)が登場し、大きな注目を集めました。Midjourney
もDiscordコミュニティを中心に人気を博しました。 - コード生成支援の普及:
GitHub Copilot
が一般提供を開始し、プログラミングにおけるAI支援の有効性を示しました。 - ChatGPTの衝撃: 11月末、OpenAIが対話に特化した
ChatGPT
(GPT-3.5ベース)を公開。その自然な対話能力、多様なタスク(文章作成、要約、翻訳、コーディング等)への対応力が世界中に衝撃を与え、生成AIブームの火付け役となりました。
- 高品質な画像生成AIの登場: テキスト指示から驚くほど高品質な画像を生成できる
- 2023年:競争激化、LLMの高性能化と社会実装
- 基盤モデルの進化: OpenAIがさらに強力な
GPT-4
を発表。GoogleもPaLM 2
を搭載したBard
を、Anthropicは安全性と倫理性を重視したClaude
をリリースし、主要テック企業間の開発競争が本格化しました。 - オープンソースLLMの台頭: Metaが商用利用可能な
Llama 2
を公開し、オープンソースコミュニティによる開発と研究を大きく後押ししました。 - サービスへの統合加速: Microsoftが検索エンジンBingにGPT-4を統合した
Bing Chat
(現Microsoft Copilot
)を開始。Googleも検索やWorkspaceに生成AI機能を統合(後のGemini in Workspace等)。生成AIが身近なツールに組み込まれ始めました。 - 画像生成AIの更なる進化:
Midjourney V5
、Stable Diffusion XL
、ChatGPTと連携するDALL-E 3
などが登場し、生成画像の品質と指示への忠実さが向上しました。
- 基盤モデルの進化: OpenAIがさらに強力な
- 2024年〜2025年初頭:マルチモーダル化、性能競争の継続
- マルチモーダリティの本格化: GoogleがAIサービスを
Gemini
ブランドに統合し、テキスト、画像、音声などを統合的に扱えるネイティブなマルチモーダル性能を強調。OpenAIもGPT-4V(ision)
で画像入力に対応しました。 - オープンソースモデルの躍進: Metaが
Llama 3
をリリースし、オープンソースながらプロプライエタリモデルに匹敵する性能を示しました。 - 性能ベンチマーク競争: Anthropicが
Claude 3
ファミリー(Haiku, Sonnet, Opus)を発表し、特に最上位のOpusは多くのベンチマークでGPT-4を上回る性能を達成したと報告されました。LLMの性能競争はさらに激化しています。 - 動画生成への期待: OpenAIがテキストから高品質な動画を生成する
Sora
を発表(限定公開)。RunwayMLなども含め、動画生成分野が次のフロンティアとして注目されています。
- マルチモーダリティの本格化: GoogleがAIサービスを
おすすめの生成AIサービス/モデル10選
ChatGPT
- 対話型AIの代名詞。2022年末の登場以来、生成AIブームを牽引。GPT-3.5(無料版)とGPT-4(有料版)が主に利用されている。多様なテキスト生成タスクに対応。
- 生成AIの能力を一般に広く知らしめ、社会実装のきっかけを作った。
DALL-E 2 / DALL-E 3
- テキストから画像を生成するAI。DALL-E 2(2022年)で品質が飛躍的に向上。DALL-E 3(2023年)はChatGPTとの連携で、より複雑な指示に応じた画像生成を実現。
- 高品質なテキスト画像生成技術の可能性を示し、クリエイティブ分野に影響を与えた。
Stable Diffusion
- オープンソースの画像生成モデル(2022年)。モデルが公開されているため、カスタマイズや特定タスクへの特化が容易で、無数の派生モデルやツールが生まれた。
- 画像生成AIの民主化とイノベーションを加速させた。
Midjourney
- Discord上で利用する画像生成AI(2022年〜)。特に芸術的、あるいは独特の雰囲気を持つ高品質な画像生成で高い評価を得ている。バージョンアップごとに品質が大きく向上。
- 特定のスタイルや高品質さを求めるクリエイター層から強い支持を得ている。
Gemini
- Googleの主力対話AI。Bardとして登場後、基盤モデルを高性能なGemini(Pro/Ultra)に移行し、名称もGeminiに変更(2024年)。Google検索との連携やマルチモーダル性能が強み。
- OpenAI/ChatGPTに対抗するGoogleのAI戦略の中核。マルチモーダルとGoogleエコシステム連携を重視。
Claude
- AIの安全性・倫理性を重視するAnthropicが開発。特に長い文脈の理解や、より安全な応答生成に注力。Claude 3ファミリー(2024年)は非常に高い性能を持つ。
- 高性能と安全性の両立を目指すアプローチで、主要なLLMの一つとなっている。
Llama
- Metaが開発・公開したオープンソースLLM。Llama 2(2023年)で商用利用も可能になり、Llama 3(2024年)ではさらに性能が向上。オープンソースAI開発に大きく貢献。
- 高性能なオープンソースLLMの普及を牽引し、AI研究開発の選択肢を広げた。
Microsoft Copilot
- 当初Bing Chatとして登場(2023年)。OpenAIのGPTモデルをベースに、Web検索と連携した対話AI。Windows OSやMicrosoft 365に深く統合されている。
- 生成AIをOSや生産性ツールに統合するトレンドを象徴するサービス。
GitHub Copilot
- コード補完・生成AI(2022年一般提供開始)。開発者のコーディング作業を支援し、生産性を大幅に向上させると評価されている。
- 特定分野(プログラミング)における生成AIの有効性とビジネス価値を早期に示した。
Sora
- テキスト指示から高品質な動画を生成するモデル(2024年発表、限定公開)。非常にリアルで一貫性のある動画生成能力が示され、大きな期待を集めている。
- 動画生成という新たな分野におけるブレイクスルーの可能性を示唆している。
以上、生成AIの歴史とおすすめ10サービスを解説しました。
この数年間で生成AIは驚異的な進化を遂げ、私たちの社会に不可欠な技術となりつつあります。
LLMと画像生成が先行しましたが、現在はマルチモーダル化が進み、動画生成など新たな領域も急速に発展しています。今後も性能向上、オープンソースとプロプライエタリモデルの競争、そして倫理的・社会的な課題への取り組みが重要なテーマであり続けるでしょう。